こんにちは。storyIの猪俣恭子です

部下のモチベーションは、上司の「気分」と「言葉」で決まります。

最初に「気分」から見ていきましょう。

1966年にイタリア人の学者によって脳内の神経細胞のミラーニューロンの存在が発見されました。
笑ったり怒ったりしている人の行為を見ると、それを見た人の脳内の特定部位が活性化して、実際、その行為をした人間の脳と同じパターンになるそうです。

こうして「気分」は周囲の人たちに伝わっていきます。
特に社会的影響力がある人物の「気分」に影響されやすいこともわかっています。

ですから、職場で上司が不機嫌な「気分」でいると、職場の人の脳内に不機嫌さが再生産され、その職場は不機嫌な雰囲気に包まれます。

反対に上司がご機嫌であれば、職場の雰囲気もご機嫌になります。

しかもその雰囲気は、職場の生産性に影響します。
なぜなら、人は不機嫌な日より、「気分」がよい日のほうが、創造的なアイディアが生まれる可能性が50%高いこともわかっているからです。

組織の生産性向上のために、まず上司自身が自分の「気分」に責任を持つことが求められます。

続いて「言葉」についてです。

「言葉」も人のモチベーションを大いに左右します。
ここに興味深い研究結果があります。

関西大学社会学部教授の安田雪氏の『つながりを突き止めろ 入門!ネットワークサイエンス』(光文社刊)によると、職場で業績の高い人(上位15%)とそれ以外の人とでは、メールで使う言葉が違うそうです。

業績が高い人がよく使う言葉は、「率直だ・スムーズだ・前向きだ・有意義だ・特別だ」
それ以外の人がよく使う言葉は、「厳しい・面倒だ・大変だ・細かい・悪い・同じだ」

業績が高い人は「ポジティブな印象の言葉」が多く、そうでない人は、「ネガティブな印象の言葉」が多いことがわかります。

確かに「ネガティブな言葉」を使いながら、自分のモチベーションを上げられるかというとそうはなりません。
「ネガティブな言葉」を使った途端、「苦労するかもしれない」「疲れるかもしれない」といったイメージがわいてくるのではないでしょうか。

それでは積極的な行動など生まれようもありません。

あなたはどちらの言葉を多く使っていますか?

部下は間違いなく上司が使う言葉を使うようになります。
上司が批判や愚痴を言っていれば、間違いなく部下も批判・愚痴めいてきます。
上司に「これは難しい」「なかなかやっかいだ」などのような口癖があれば、間違いなく部下も同じようになります。

部下は上司を本当によく観察しています。
観察している人の影響を人は最も受けてしまいます。

自分が上司としてどのような言葉を使っているのか気づき、「ポジティブな印象の言葉」を選んで使うようにしましょう。

もしも部下が「ネガティブな印象の言葉」を使っているようであれば、見逃さないでください。
「『難しい』んじゃなくて、それは『慣れていないだけ』だよ」のように。

部下のモチベーションは、上司の“気分”と“言葉”で決まるとなれば、今からすぐにでも取り組めます。
皆さんの人材マネジメントが楽になることにお役にたてれば幸いです。

次回のテーマは、「前向き思考の質問で、主体的な行動を促す」です。

どうぞお楽しみに。