こんにちは。storyIの猪俣恭子です。

数年前に生活情報バラエティ番組『がっちりマンデー!!』で大変興味深い内容を観ました。
そのときのテーマは、『いろんな会社が押し寄せる!「視察が殺到する会社」』

そこで紹介されていた日本理化学工業の取り組みに、「強み」を活かすとはこういうことなのかとしみじみと感じりいました。

日本理化学工業は、学校で使うチョーク製造を主とした会社で、全従業員86人中63人が知的障がい者です。(2020年2月現在)

障がい者多数雇用を目指したのは、ある日、禅寺のお坊さんから教わったことがきっかけだったとか。

それは、人間の究極の幸せは、「1つ目は愛されること」、「2つ目はほめられること」、「3つ目は人の役に立つこと」、そして「4つ目は人に必要とされること」の4つであること。

ということは「障がい者にとっての幸せは、福祉施設で大事に面倒をみてもらうことではなく、働いて役に立つことではないか」と気づき、そういう会社を目指すと決めたとのことです。

こちらの社員の皆さんが、いかに真摯に誠実に仕事に取り組んでいるかは、こちらのページで詳しく見られます

さて、テレビを観ていてはっとしたのは、「障がい者の特徴を活かす」という言葉でした。

知的障がい者は、同じ動作を繰り返して集中する作業が得意とのこと。
だから、そういう作業を担当してもらい、間違いなくやってもらうことで、現場の生産性を確実に上げていくのだそうです。

見事、戦力になっているわけですね。

一方、障がい者ならではの弱点もあります。
しかし、その弱点をフォローする体制も、きちんとつくっているところが“さすが”と唸りました。

例えば、数字を読むのが苦手だったら、ストップウォッチで作業を管理するのではなく、代わりに砂時計を使うとか。

また、この材料はこの秤で測らなければならない、というものもあるそうですが、そのあたりの判断ができないのであれば、色を活用して識別できるようにしているそうです。

例えば、赤い缶に入っている材料は、赤い色がついているおもりで測るなど。

働く人たち全員で企業の目標を達成するために、強みを客観的に捉え、その強みが活かせる場をちゃんと用意すること。

同時に、弱点がフォローできる方法も考え、実施していること。

「あの人はこれができない」と決めつけたままにせず、何があったらできるようになるのかを考えて工夫して、できる方法をとことこん探していく会社の姿勢に感動しました。

こういう環境のもとだったら、人はやはり働くのが楽しくなるでしょう。

事実、インタビューで、ある障がい者の方は「仕事は大変だけど、おもしろい」と話していて、そこに偽りは全く感じられませんでした。

心の底から本当にそう思っていることが、映像からひしひしと伝わってきました。

人の強みを活かし、弱点はフォローする。

どうも人のモチベーションを上げるためには、あれが必要、これが必要と私たちは複雑に考えすぎるきらいがあるようです。

しかし、「他人の役に立っていると自分で実感できる」場を用意すること。
案外とこんなシンプルなところに、人のモチベーションは伸び伸びと生まれるのかもしれません。

組織における一人ひとりの「強みを活かす」本質をここに見たように思いました。