こんにちは。storyIの猪俣恭子です。

あなたは、職場の同僚、後輩、友人や知人、家族のような身近な人に、日頃どんな質問をしていますか?

質問のスタイルは大きく2つに分かれます。

一つは、クローズド・クエスチョンで、「はい」か「いいえ」で答えられる質問です。

例えば、「メールの返信した?」「課長に報告した?」「準備はできている?」「お昼は食べたの?」「お客様に折り返し連絡した?」「あの件、上司に伝えてくれた?」などです。

もう一つは、オープン・クエスチョンで、いわゆる5W1Hと呼ばれる疑問詞(What、Why、Who、When、Where、How)でつくられ、自由に答えられる質問です。

例えば「何が良かった?」「なぜそう思うの?」「お客さまの様子はどうだった?」「休暇はいつとるの?」「出張は誰と一緒なの?「どこの会議室を使うの?」など。

どちらの質問が「良い、悪い」ということはありません。

しかし、私の経験上、クローズド・クエスチョンが続く会話になっていたら注意したほうがいいですし、「Why=なぜ」も使い方に工夫が必要な質問です。

以前、夫との会話を第三者的に観察してみたことがあります。
というのも、当時、夫との会話があまり楽しくないなと感じていたからです。

何がそうさせているのか、答えを探してみようと会話を観察してみようと思ったのです。

次の会話は、軽井沢で行われた友人の結婚式から帰宅したときのものです。

彼「新幹線で行ったの?」
私「うん」

彼「寒かった?」
私「うん」

彼「ホテルは駅から遠かった?」
私「うん」

彼「ホテルはいいところだった?」
私「うん」

彼「食事は美味しかった?」
私「うん」

彼「知っている人はいたの?」
私「うん」

なるほどと思いました。

さっきから私は「うん」としか答えていません。

彼の問いかけは「Yes」「No」を訊ねるものばかり。
これでは話が盛り上がるわけがありません。

彼「たくさん来ていたの?」
私「うーん。そうね。たくさん・・・かな」

彼「スピーチ、上手くいった?」
私「ああ、スピーチね。あんまり上手くいかなかったかなあ」

彼「なんで?! なんでうまくいかなかったの?!」

そう言われた瞬間、きゅっと全身に緊張が走りました。

彼は私を責めているわけではないのに、上手くいかなかったことを「責められている」ように感じました。

それでも「なぜ上手くいかなかったのか」と質問されれば、嫌でも原因を考えます。
そもそも準備不足だった、まさかあれほど緊張すると思わなかった、どうにかなるだろうと高を括っていた、ああ、私が悪かった!

友人の結婚式という晴れやかな楽しい話題のはずが、だんだん憂鬱になってきました。

私「緊張していたし、準備不足もあったし。まあ、いいんじゃない?」
彼「じゃあ、上手くいったの?」

私「(考えるのも、もう面倒。半ば投げやりに)そうだね、上手くいったほうじゃない?」
彼「上手くいったんだね。よかった。あれ、今日はいつもよりしゃべらないね。どうしたの?」

どうしたの? と言われても・・・。

これにて会話終了。

人は質問されると、自ずと答えを探します。
しかし、「はい」か「いいえ」の二者択一の質問が続くと、さほど考えなくてもすぐに答えが出ますから、結果として深く考えない癖がついてしまいます。

気づき、考え、選び、行動できる人に近づく質問かというと、そうではないでしょう。

あなたが日頃に使う質問は、クローズド・クエスチョンにとオープン・クエスチョンのどちらが多いですか?

もしもクローズド・クエスチョンを圧倒的に使っているようでしたら、時折オープン・クエスチョンをおりまぜてみましょう。

夫との会話を例にするなら、次のようにです。

「軽井沢はどれくらい寒かった?」

「ホテルは駅から何分かかったの?」

「ホテルまではどうやって行ったの?」

「どんなホテルだったの?」

「食事は何が一番おいしかった?」

「知っている人は誰がいたの?」

それと大切なことが一つあります。

部下が失敗したとき、間違ったとき、ミスをしたとき、状況が上手くいかなかったとき、つい私たちは「なぜ、こうなったの?」と質問したくなります。
そのような時に「なぜ?」と質問されると、相手は批判されたり、詰問されているように感じ萎縮してしまいます。

そうなると言い訳のひとつもしたくなるもので、それが続くと言い訳上手な人になってしまいます。

とはいえ、「なぜ」はもともと問題解決と改善に向けた原因を探る有効な質問です。

もしも部下にそう質問したくなったら、「どうしたら」で言いかえてみましょう。

「どうしたら、上手くいっただろう?」
「どうしたら、次回は上手くいくと思う?」
「どうしたら、できるようになるだろう?」

などのように。
部下は、自分が目指す状態に向けて、何をすべきかが自ずと考えられるようになります。

そうして「これから」に頭を働かせることができれば、行動を起こす可能性もぐんと高くなるでしょう。

「クローズド・クエスチョン」のオンパレードと「Why」には要注意。

部下の思考が広がり、思わず行動したくなるような質問をしていきましょう。