こんにちは。storyIの猪俣恭子です。

もしも部下が「被害者意識」の高い状態だったら?
どうしたら「当事者意識」を持ってもらえるでしょうか。

そのような部下が共通して言うことは、次のようなことです。

「ちゃんとした説明がなかったから、間違った」
「こんなに方針が変わるから、行き違いがあった」
「指示があいまいだから、ミスしてしまった」

聞いていて、「そんな言い訳ばかりして」と、諭したくなるようなことばかり。
しかし、こちらが正論を言ったところで、部下はさらに反発するのは目に見えています。

部下の愚痴、言い訳、不平不満。
肯定もせず、否定もせず、まずは聞いてあげてください。

部下に話をさせてください。

部下のほうを見て、しっかりと頷き、話の合間に相槌を打ちながら、思いっきり、話をさせてください。

「そもそも、経営陣はわかっていない」
「もっと、現場のことをわかってほしい」
「方針が変わりすぎて、振り回される」
「人員が減ったのに、仕事は増えている。できっこない」
「営業エリアにそもそも、該当する顧客はいない」
「無理!」

耳をふさぎたくなる言葉ばかりですが、とにかく思いっきり話をさせてくだい。

「わかってほしいんだね」
「報われない、って思っているんだね」
「公平じゃない、って思っているんだね」
「また責められるんじゃないか、って不安に感じるんだね」

などのように共感しながら、そしてその場から逃げずに力強く聞いてあげてください。

そうして聞いているうちに、部下の声のトーンはだんだん下がってきます。

思いっきり「被害者意識」で話すことで「自分という一個人がどんな状態にあるのか」を客観的に認識できるようになるからです。

環境や他人のせいばかりにしている自分が、多少なりとも惨めに感じるようにもなります。

人は、心の底からきちんと聞いてくれる人の前では、言い訳や愚痴など10分も続きません。

部下がひとしきり話して、一瞬の沈黙が起きたとき。
それは、部下が「当事者意識」を取り戻すか否かの瞬間です。

そこをみはからって、次の質問をしてください。

「今の状況をどう捉えているのか、いろいろ話をしたね。
ここで考えてみましょう。もしも、今の状況をあなたもつくりだしているとしたら、それは何だろう?
今、できることは何だろう?」

と。

これは

「あなた自身もこの環境を構成する一員。
だから、あなたも今の環境を変えることは、十分できる」

ということに、部下が気づくことを願っての質問です。

また、部下が自己効力感や自信を取り戻せるようになることを期待しての質問です。
それだけの意味がありますから、質問をするときのあなたのスタンスがそのまま部下に伝わります。

部下の目をそらさずに。
揺るぎない態度で。

この質問が部下の「当事者意識」を高めることを信じつつ。

でも期待しすぎないようにしてくだい。
当然ですが、人はこちらの思うように都合よく変わりません。

でも「いつかは変わる」と信じて繰り返し問われれば、変化は少しずつ少しずつ、現れます。
重要なのは、あなたがそのように「被害者意識」の状態が高い部下と関わっている様子を、周りの人はよく見ているということです。

そのような関わり方をしているあなたを周りは支持するようになり、よき理解者となり、サポートさえ進んでしてくれるようになるでしょう。

だからこそ、あなた自身が「当事者意識」を携えて仕事をしていることが最も大切なのです。

人は「当事者意識」「被害者意識」の間を揺れ動いています。

部下の「当事者意識」の高い状態を広げていくのも、あなたの役割です。