こんにちは。storyIの猪俣恭子です。

仕事をしていて「この状況は避けたいな」と思うことは何ですか?

私の場合は、部下から不平不満を耳にすることでした。

部下がそれを言おうものなら、心の扉がきゅっと閉まるのを感じました。
なんとも言えない嫌な気持ちになり、無力感さえ感じていました。

しかし、その捉え方が大きく変わることがあったのです。

部下から不平不満を言われることは、実はよいことでもあると。

あるとき友人に質問されたことがあります。

「なぜ、コーチングを学ぼうと思ったの?」

と。
私は次のように答えました。

「印刷会社で働いていた時、私のコミュニケーションについて、部下からフィードバックをもらったことがあったの。

そしたら、こう言われた。

『猪俣さんの言っていることや、やっていることは正しいです。
でも、もっと私たちの話を聞いてくれても、いいんじゃないですか?』

って。

とてもショックだったよ。

だって、前職の銀行では研修の仕事をしていたじゃない。
仕事を通して、どのように人を育成するかを教えていたのに、現場になると全くできていなかったんだよね。

情けなかったなあ。

理論と実践の間の溝はとても深い、自分のコミュニケーションのとり方を変えないと何も変わらない…って思って、門を叩いたのがコーチングだったんだよ。」

静かに聞いていた友人は言いました。

「その人は、猪俣さんを信頼していたんだね。」

「え? 信頼している?
そんなことはないと思うけど。」

「猪俣さんを信頼していたからこそ、言いにくいことも言えたんだと思うよ。
どうでもよかったら言わないでしょ。

私の場合だけど、上司に言いたいことがあっても、すぐには話さない。
『この人に打ち明けて大丈夫かどうか、わかってくれる人かどうか…』って何日間も考える。」

「それで、『わかってくれるかな』と思えたら、話せるの?」

『わかってくれるかな』ではなくて、『この上司だったら、必ずわかってくれる』という確信を持てて、初めて話すよ。
だから、その彼女も猪俣さんのことを『わかってくれる』と確信していたからこそ、話せたんだと思う。
猪俣さんのことを、心から信頼していたはずだよ。」

そういう考え方もあるのかと、目からうろこが落ちる思いでした。

部下が不平不満を言うのは、私を信頼しているからこそ。

そう捉えると、対応の仕方もずいぶん変わってきます。

だからこそ、「正直に言ってくれて、ありがとう」という感謝の思い、そして部下にそう伝えることが大切なのだ…と実感しました。

部下が不平不満をあなたに言うようになったら、ちょっと自信を持ちましょう。
もしかしたら思っている以上に、あなたと部下の関係は「いい感じ」なのかもしれません。

なぜなら、それは部下があなたを「信頼している」というサインでもあるのですから。