「知ってる? あの部長は、人の名前を全然覚えないの。
 私の名前も知らないと思う。
 自分の部下なのにねぇ」
それは、まだまだ私が若い時分、入社三年目の時のこと。
先輩のそのひと事は、とても印象的でした。
名前を覚えてもらえないということは、ここまで言われてしまうことなのかと。

人は、周囲から必要とされる価値ある存在でいたいという欲求を誰もが持っています。
自分の名前を覚えてもらうのは、その最たるものでしょう。
この欲求が満たされれば、「自己肯定感」が高くなります。
自信も持てるようになります。
仕事においても、チャレンジしようという前向きな意欲が湧いてくるでしょう。

これに関し、6年ほど前に担当した研修を思い出しました。
受講者の一人、Aさんの体験です。
「面談の時、『この前も同じことを聞きましたよね』と部下から言われまして・・・。謝りましたが、気まずくなってしまいました」
「そういうこともあるよね」といったん思ったものの、Aさんは「これではいけない」と、ノートを一冊用意たそうです。
そのノートに「部下と、いつ、どこで、何」を話したのかを書いていくつもりだと。

「それはいいアイディアですね。続けるとどんな変化が起きそうですか?」
「部下から信頼されると思います。次回のフォロー研修まで続けてみようと思います」
多忙な毎日を送るAさんが、果たしてどれくらい続けられるだろう?
少し心配したものの、三ヵ月後のフォロー研修で再会したAさんは、晴れ晴れとした表情をしていました。

「いいことありましたよ!」部下と話したことをノートに書きとめることで、面談がスムーズになりました。
『前回の面談では、今度は違う方法を採用したほうがいいのでは? というところまで話したよね。今日はその続きからでいいかな?』のように。
そんなことが続くうちに、部下も面談へのコミットが高くなったようで、前もって意見を整理して臨んでくれるようになりました」

なるほど、前回の面談で話されたことをちゃんと上司が覚えていてくれれば、部下のほうだって、より一層真剣に取り組もうという気持ちになるはずです。

続けてAさんは、こんな効果も話してくれました。
(次回に続く)

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