(前回からの続きです)

先日担当したリーダーシップ研修の休憩時間に、一人の受講者から相談されました。
仕事の取組み姿勢が消極的な部下がいて、どうしたらもっと自分から進んでやるようになるのかと。
あの手この手をうっても変わらない。
もう匙を投げている・・・云々。
相当苦労している様子。
しかし、私は、はっきり言いました。

「〇〇さん、さっきから聞いていますと、全て相手頼みですね」
え? きょとんとした表情の彼。
「相手に“変わってほしい”とばかり願っていても、人は自分が思うようになんか変わりませんよ。
 他人のありよう自体はコントロールできませんから。
 自分がコントロールできないことにエネルギーを費やしていると、ほとほと疲れますよ。
 ストレスレベルも上がりますし。
 それよりも変えられることにエネルギーをかけましょうよ。
 自分自身のことは自分で変えられるでしょ?
 例えば、部下へのコミュニケーションの取り方だったり、捉え方だったり、行動そのものだったり。
 部下を変えようとしても、何も変わりません。
 部下の立場から見たらどうでしょう?
 自分を変えようとする〇〇さんを見るたび、余計に頑なになるばかりでしょう。
 嫌な気持ちになるばかりでしょう。
 それに部下が自ら何かを変えたとしても、変えようと努力をしていたとしても、〇〇さんはそういう小さな変化すら映らない心の状態になっているんじゃないですか」

短い休憩時間ですから、私の言い方もきつくなっていたかもしれません。
言い過ぎたかと思いましたが、彼にとって必要なこと。
ここまではっきり伝えられるのは、日ごろの関係性がない私だからこそ言えることだろうと、その後、彼が何をどう感じようが責任を持つと腹をくくりました。

さて、研修終了後。
帰り際、彼は私に近づいてこうおっしゃいました。
表情が随分穏やかになっています。

「猪俣さんから、はっきり“だめだし”してもらって、よかったです。
 目が覚めました。
 部下が自分の思い通りになってほしいと思ってばかりでなく、自分から変わります」
と。
まるで別人のような彼でした。

人は、注意など自分が改善すべきと思われているところは、はっきりそうだと言ってもらいたいのです。
そうして自分という人に相手が向き合ってくれたことに心が動き、結果として、自分の何かを変えてみようと意識が傾いてきます。

相手を大切にする、というのは優しい言葉をかけるだけではありません。
厳しい言葉を責任をもってかけること。
それも相手を動かす十分なきっかけになります。
しかし、大切なことが一つだけあります。
それは、「正しいのは自分。間違っているのは相手」。
そんな意識で注意することのないように。
私、注意する人。
相手、注意される人。
そんな二極化の関係を超えましょう。
「お互いのビジョンや目的をともに目指す仲間として、お互いに改善すべきところがあれば、変化(=自分の何かを変える)にチャレンジしていこう」
そんなスタンスで注意すれば、注意するときに一瞬にしてわきおこる「不安」は一掃されるはずです。

どうぞ自分を信じて。
相手も信じて。
のびのびと、はっきり、注意しましょう!

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