(前回からの続きです)

そして、Bさんにその行動をチーム全体のために変えてほしいのならば?
率直に真正面からリクエストすることです。
例えばこのように。

「あなたの仕事がスケジュール通りに進まないと、納期に間に合わないのではないかと、とても不安です。だから、予定どおりに進めてほしい」

この時のポイントは、「不安」や「困っている」のような感情を表す言葉を添えることです。
相手の行動を変えたくなるときには、実は感情的に程度の差はあれど「怒り」がそこにはあります。
期待しているのにそうならない「もどかしさ」「裏切られた」「がっかり」「悲しい」という感情が背景にあります。
その感情に気づかぬふりをしてしまうと、ある時に相手に対して爆発してしまうことも起こり得ます。
いわゆる堪忍袋の緒が切れて・・・という状態ですね。
だからこそ、自分がそういう気持ちになっていることを開示して相手と共有すると、相手がこちらのリクエストを聞いてみようかと心が開いてきます。

はっきり言わなくても、相手に気づいてほしい、なんて虫が良すぎます。
伝えなくては相手にはわかりません。
どうしてほしいのかを、きちんと相手にリクエストする。
それもリーダーや上司としてのスキルです。

このようなことを語った私の話を、Aさんは静かに耳を傾けてくれていました。
そして、ふうっとため息をつくと穏やかな表情でこう話されました。

「確かに私はBさんに気をとられすぎていました。
 これからは、チームとして上手くいっている部分もちゃんと意識するようにします。
 また、他のチームメンバーをどのように育てていくのか、彼らたちのパフォーマンスを上げていくためにできること、そこにエネルギーを注いでいきたいと思います」

チームを引っ張っていくうえで、特定の誰かに気をとられていると、バランスが崩れます。
もしかしたらの話ですが、Bさんのようなタイプは、自分をかまってほしいという無意識のニーズがあり、気にかけてもらうべく問題とされる行動や言動をとっていることもあるかもしれません。
リーダーや上司が全体に公平に目配りをしていくこと。
そして率直にリクエストすること。
このことの積み重ねこそ、理想のチームを形作るものになるでしょう。

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◆今日の問い◆
「相手へのリクエストをどこで練習しますか?」

実はこの「リクエスト」のスキルですが、苦手とおっしゃる方が多いんですね。
例えば「会議では自分はどう思うのかの意見を最低一回は発言してください」というところを「いろいろと大変だと思うけど、会議では短くてもいいから、自分はまあどう思うかなというところを、最低一回くらいはどこかで発言してもらえると嬉しいな」のように。
単刀直入に言うことの怖れがそこにあります。
傷つけるんじゃないか、とか。
偉そうに見えちゃうんじゃないか、とか。
そんなことは、いらない気遣いです。
かえって相手は気にします。
リクエストは簡潔・明瞭に!
だからこそ、誰かに相手役になってもらって、相手にとって「受けとりやすいリクエスト」の練習をしましょう。
そこに意識を向けてもらうための質問です。

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