拙著『女性のためのリーダーシップ術』の23ページにも書いたように、
私は完全無欠のペーパードライバーだった。
それがのっぴきならない状況になり、
教習所に通うはめになった。
その時の教官があることを言ってくれて、
「私は運転ができない人」という思い込みから目がさめた・・
というくだりは拙著で紹介したとおり。

しかし、その後もストーリーはある。
車が運転できるようになったのには、
あのエピソードがあったからだ、
そう実感できるものがある。
それを三回にわたってお伝えしよう。

今日のキーワードは、「気持ちを軽くさせる」だ。

さて、当時の話に戻る。
ヴィッツが納車になり、
戦々恐々している私に、
猪俣兄弟が「運転を練習しよう」と言い出した。
それは猪俣の実家で、夜のことだ。
そもそも車購入の理由は、猪俣の母の通院のため。
母はくも膜下出血という大きな病気から、
なんとか助かり退院してまだ間もなかった。
私の役割は重大だったのだ。
「恭子さんの運転で明日から病院に行くんだからね。
 恭子さんの運転に慣れよう」
と夫が母に提案し、
母と夫と義理の弟も一緒に乗り合わせ、
夜の運転練習となった。

暗い住宅街の中。
歩いている人は一人もいない。
スピードは時速20kもないくらいだったと思う。
おそるおそる走らせる。
…と、左方向から突然自転車がひょいと飛び出した!
焦ってブレーキをかける。
シートベルトをしながらも、
助手席に乗っていた母の上半身が前後に揺れた。
まずい! ひやっとした。
夫と義弟はどう感じただろう。
やっぱり、私に任せるのは危ないって思ったんじゃないか。
落ち込んだ。

と、間髪いれず、義弟が言った。
「大丈夫、大丈夫。
 これくらいゆっくりのスピードだったら、
 仮にぶつかっても大事には至らないから。
 大丈夫。ゆっくり走っていればいいんですよ」
なんとも力強く、明るい声!
助手席の母も、義弟のその声を聴いて、
「うんうん」とうなずいてくれた。
とにかく走らなきゃ。
気を取り直して、またそろりそろりとアクセルを踏む。
義弟に感謝した。

今振り返ってみれば、
あのシーンはターニングポイントだった。
もしもあの時に、猪俣兄弟が、
「そんなびっくりしなくてもいいから。
 落ち着いて」
「信号がない交差点は右左をちゃんと見て」
なんて指導よろしく言っていたら、
私はずーっとびくつきっぱなしだった。
やっぱり車は怖いモノ、
というイメージを抱えながら運転していたと思う。
そのままだったらどうなっていただろう?
道路に出ても、
周囲の車のペースと合わせられない運転をしていたのじゃないか。
車線変更やら追い越しにしても、思い切りが出なくて、
かえって危なっかしい運転をしていたのではないかと思う。

最初からスムーズにいくことなんてない。
だから、やり始めは失敗することだらけ。
その時に、「気持ちを軽くして」あげる。
そして、行動が続くようにしてあげる。
その効果たるもの、なんて大きいことか。

大丈夫、大丈夫。その調子!
私も心がけたいことだ。

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