(前回からの続きです)

「シルバーの色って、汚れが目立ちませんか?」
そう心配する私に、店員さんは次のように言いました。
「スーツケースってお客様がおっしゃるように、汚れが気になりますよね。こちらのシルバーの色のものは、黒くついた傷や汚れがなかなか味わい深くなって、かっこよくなりますよ。あっ、私の感じ方ですが」

その瞬間、数年後のスーツケースがふわっと浮かびました。
場所は空港、もしくは駅。
年数を重ねてついた傷が、味わい深くなっているスーツケースの傍らに立っている自分。
なんだか、いいんじゃない!
5,000円高いことに難色をしめしていたのはどこへやら、それに決めました。

商品を買った先に、どんないいことがあるのか、魅力的な未来を店員さんは見せてくれたんですね。

さて、今まで、自分はどうだったろう?
ふと会社員時代を思い出しました。
「この仕事は見積もりをギリギリのラインでとったから、ちょっとしたミスで赤字になるからね。気を付けて。間違わないように」
「この仕事が来年もらえないと、うちの会社は相当厳しくなります。だから、気を抜かないで」
そんなことばかり言っていたなあ。
都度、社員は眉をひそめ、顔をしかめ、うつむいて口数が少なくなっていたっけ。
今だからよくわかります。
不安をあおって、社員の行動を促していたことに。

友人曰く「不安をあおってモチベーションが上がるのは経営者側。社員にとっては逆効果」と。
「不安、嫌、辛い、痛い」。
そんな未来のイメージのもとでは、うまれる行動は「やりたい」ではなく、「やらねばならない」もの。
一時的に行動が起きたとしても、続くわけがありません。

スーツケースの店員さんのように、「魅力的な未来を見せ」、そして「魅せ」ましょう。
例えば?
もしもチラシ配りという仕事に面白みを感じずにやる気がなさそうな部下には、「意外とチラシを受け取って、そのままうちの店に来てくれるお客様もいらっしゃるんだよ。未来のお客様と出会えるいいきっかけになるよ」と
新しい企画の実施に、どうせやっても無理と尻込みしている部下には「これが成功するば、確実にお客様が増えるよ。業界のモデルとしてうちの会社が注目されるよ」など。

しかし、大切なのは、そうして見せただけで終わらないことです。
自分も相手と一緒に取り組み「上手くいくんだ」という実感を相手に味わってもらうこと。
そこまでできたら最高です。

リーダーとは、希望をくばる人。
魅力的な未来を相手に見せて、魅せましょう!
くれぐれも不安を見せ、不安をあおることないように。

★今日の質問「あなたは未来に希望を感じている? それとも不安を感じている?」

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