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【エピソード2】銀行員 本店営業部時代(後編)

仕事ができる先輩たちに訊ねたことがあります。
「将来、この銀行でどうなりたいんですか?」と。
驚いたことに口々に返ってきたのは「早く辞めたい」でした。
辞めたいと思いながら、こんなに仕事ができる? もしもやる気をもって働いたら、一体この銀行はどこまで数字が伸びるだろう?
そんなことさえ思いました。

「一人で決して悩まないで」との上司からの言葉が心に残る

やはり人事部で研修の仕事をしてみたい。
仕事のモチベーションが高くなるような、やりがいを感じられるような、そんな研修をしてみたい。

そう思っていた矢先のこと。なんと定期預金の相談窓口に係替えになったのです。
しかし、1年9ヶ月も融資のごく一部の事務しか担当したことがない私は、預金事務の流れはチンプンカンプン。
窓口は二人体制でしたが、隣の先輩のほうがお客様応対のスピードが明らかに早い。
ゆうに私の1.5倍もの件数は対応していたのではないでしょうか。

後方事務の先輩は相当イライラし、「福田さん、遅い! もっと早くお客様の相談を切り上げて!」とカルトンと一緒にお叱りの言葉が飛んでくる、一人のお客様の応対時間が長くなれば、他のお客様の待ち時間も長くなります。
にこやかにいらしたお客様のお顔も次第に強張り、目は吊り上がり・・・。
「あとどれくらいでできますかっ!」

計算が合わなかった時のことです。
「福田さん、何か心当たりない?」と課長代理に言われ、はて? と首をかしげたその時、思い出したのです!記帳した伝票を間違ってゴミ箱に捨ててしまったことを!
慌てて地下の倉庫に飛んでいきました。

90リットルサイズほどのごみ袋を思いっきり逆さまにして、両手で漁る、漁る。
「あった!」しわしわになった伝票を後生大事に抱え職場に戻れば、上司からカミナリが。
「なんだっ! 融資では伝票を捨ててもいいって教えられたのかっ!」
申し訳ありませんと頭を下げて謝るのみ。

ミスをしたあとのやり方を先輩に質問すれば、「そんなミスはしたことがないから、やり方なんてわからないっ」と不機嫌に。
総務課の大先輩からは「福田さんが定期預金に移ってから、全体の計算が合うのが遅くなったのよっ」と怒り心頭。

さすがに落ち込みました。惨めでした。
なぜ、他の人はできるのに私はこんなにもできないのか。
能力が劣っているのだろうか。
働くこと自体、適性がないんじゃないか。
帰宅してからは同期に電話をかけ、事務フローのわからないところを教えてもらったりしました。

それでも日が経つにつれ、少しずつ預金事務のスピード感やお客様相談のコツも慣れてきました。
「福田さん、頑張っているじゃない。いいんじゃない。その調子、その調子」先輩たちからそんな言葉をかけてもらえようになりました。
とにかく慣れるしかない。とにかく間違いなく確実に仕事するしかない。
信頼は自分で勝ちとらなければならない。

ささやかな自信らしきものがようやく芽生えた3月の下旬、人事異動発表の日。
私には関係ないと、いつも通りに机に雑巾がけをしていました。

が、遠く部長席がざわつき・・・。すると、「福田さん、異動だってよ」との声が。

本店営業部 福田恭子  異動先 人事部

人事部に異動? 私が? 雑巾を握る手が震えました。どきどきしました。
入行してからの希望がかなったのです!
何人もの方から電話をいただきました。
廊下ですれ違う方からも声もかけていただきました。
「転勤、おめでとう」と。

数日たって、人事部研修グループの一期上の先輩から手紙が届きました。
「このたびは異動おめでとうございます。私たち研修センター一同、福田さんと一緒に働けることをとても嬉しく思っています。今は、どうぞそちらでやるべきことに集中してください。そしてなんら心配することなく、こちらにいらしてください。楽しみにお待ちしています」
読んでいるそばから、力が湧いてきました。
「頑張ろう。異動を希望しながら叶わなかった人たちのためにも」

2年間の本店営業部時代。
多くを体験し、学びました。
その全てを活かすべく、働く舞台は本部に移っていったのです。

2020-04-15T09:35:16+09:00
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