随分前のことだが、
当時、ともに働いていたチームリーダーの口癖は、
「これをやってくれると嬉しいなあ」だった。
聞いては、思ったものだ。
「~~してくれたら嬉しいなあ」よりも、
はっきり「~~してくれない?」「~~してください」という言い方のほうが、
聞いていて気持ちがいいなあ、と。
そして学んだのだ。
相手に何かしてほしいときは、
率直に簡潔に伝えたほうがいいと。

さて、先日、『図解モチベーション大百科』(サンクチュアリ出版)を読んで、
今まで信じていたこのことが覆された思いになった。

イリノイ大学、イブラヒム・シネイたちの実験として、
次のことが紹介されていた。

  被験者たちにある課題に取り組んでもらうが、
  取り組む直前の一分間、チームごとに違うことをしてもらう。
  Aチームの人たちは、
  「私はやる」と自分に言い聞かせる。
  Bチームの人には、
  「私はやるかな?」と自分に質問する。
  さて、どちらのチームの人が、
  より多くの課題を解いただろうか?

どちらのチーム?
もちろんAチームだと思った。
宣言効果という言葉さえあるくらいだ。
「私はやるかな?」というあいまいな表現よりも、
「私はやる」と言い聞かせたほうが、
コミットメントが高くなるに違いない!

が、答えは、なんとBチームだった・・・!
しかも、Bチームの人たちは、
Aチームの人たちよりも平均して50%多くの課題を解いたそうだ。
信じられない・・・!

理由は、「やれるかな?」と質問すると、
そこには「はい」「いいえ」と答えを自ら選択できるようになるわけで、
これがいいとのこと。
自分で選択を選べているということが重要だそうだ。
つまり、「自分で選んだ」という意識が、
知らず知らずのうちに醸成される?
ということは、自然に主体的になっているということ?
と解釈した。
確かに、「私はこれをやる!」と言い聞かせながらが続くと、
だんだんプレッシャーを感じてきそう。
「やりたい」というよりも、
「何が何でもやらねば・・・!」になりそう。
そのうち、難易度の高いものを取り組んでいるような、
息苦しささえ感じてしまいそうだ。
だから結果がでないということなかろうが、
途中息切れしたり、かえって集中が途切れたり、
「私には無理」とさえ思ってしまいそう。

自分で選んだ答えだという意識は、
思考を自由にし、パフォーマンスも高めてくれるのだ。

だから、部下やメンバーに、
「いついつまでにやっておいてください」
と指示やリクエストをするついでに、
「できそう?」「やれそう?」と問いかけてみるのは効果的だ。
相手はきっと「はい、やります」「なんとかします」と答えるだろう。
そうしたら、相手と一緒に「できそうな理由」も考えてみる。
そこまでやれば、相手がやりとげる可能性はより一層高くなる。

まずは、自分で実験。
 よし、やるぞ!
もいいが、
 できるかな?
 できそう?
と、優しく問いかけてみよう。
「うん、できそうだ。だって・・・」と理由もいくつかあげてみる。
きっと以前よりも「できている」感覚が得られるに違いない。

人の心理というのは・・・、面白い。

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