昔昔、その昔。
今から四半世紀前のこと。(えーっ?!)
当時の私は相当とんがっていた。
こうすべき、ああすべき。
自分にも周囲の人にも厳しく、
近寄りがたい雰囲気をまとっていたと思う。

仕事のことで同期と話していた時、
モデルになる人がいないと愚痴った。
その同期は私より二歳年下。
物腰柔らかく、朗らかで、よく気がつき、
彼女がいると、その場の空気がふわっと和やかになる。
その彼女が言った。

  恭子ちゃんがモデルになればいいじゃない

でも、その時は思ったんだなあ。
「それは後ででいいの。
 今、自分にとってモデルがほしいの!」
と。
若気のいたりというか、
自分が成長すること、自分がよりよくなることで
頭がいっぱいだったあの頃。
周囲にばかり多くを求めていたんだな、と
ここまで年をとれば客観的にわかる。

あの同期は素晴らしかった。
ぐちぐち言っている私に対して、
周りにばかり求めているんじゃなくて、
あなたがモデルになりなさいよ、と教えてくれた。

そうなのだ。
テレビや雑誌に取り上げられるような素敵な人は、
そう近くにいるもんじゃない。
だからといって、悲観することもないし、
あきらめてもいけない。
悲観したところで、あきらめたところで、
目の前にモデルになるような人が、
突然現れることなんて、絶対ないし。
だから、今ある環境の中で、
一緒にいる人たちの中で、
その人たちの素敵なところ、
真似たいところ、
よいところを見つけよう。

理想を人に押し付けない。
人の中に、理想を見つける。

それでも、あきたらないのであれば、
今の現状から飛び出し、
理想を探す旅に出ればよい。
その勇気があればの話だが。

今ある環境で、自分がモデルになる。
そういう人は、人生、よくなる。

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