「この記事をたまたま見たんです。
 すごくいいことが書いてあると思いました。
 このことを保護者に話してもらえませんか?」
そう言って見せてくれた記事は、
かつて帝国データバンク栃木県版に私が執筆していたものだった。
発行年月は2014年1月とある。
私自身にとっても、印象深い内容のひとつ。
こうして他の方からおっしゃっていただいたこともご縁と思い、
こちらのブログでも今一度紹介したいと思う。
スキルという技術云々ではなく、
人と接する際の「心の持ち方」として参考になるものと思う。
技術というのは、一朝一夕に習得できない。
しかし、心のありようというのは、「今」からでも取り入れられるものだ。
私自身もあらためて大切にしていきたい。

・・・・・・・・・

「期待」という言葉。
辞書を引くと、次のようにある。
『あることが実現するだろうと望みをかけて待ち受けること』と。

さて、あなたは部下にどのような「期待」をしているだろう?
約束を守る人、有限実行の人、思いやりがある人、嘘をつかない人、
それとも気遣いができない人、自分勝手な人、すぐあきらめる人・・・など。

1950年代、アメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガー教授は、
X理論Y理論を提唱した。
X理論は「人が動くのは報酬をもらえるからだ」というもの。
一方Y理論は、「人は仕事そのものから得られるモチベーションによって動く」というもの。
研究者たちは、各タイプの部下が、
それと反対のタイプの上司のもとで働くと何が起こるのかを調査した。
驚いたことに、反対のタイプの部下を持っている上司はほとんど見当たらなかった。
X理論を信じている上司の部下は、常に見張っていなければさぼり、
Y理論を信じている上司の部下は、
自分の仕事は、自部のに仕事を愛して働いているという結果だった。
どうやら部下は、上司が期待するとおりの人になっていくようだ。

先日お会いしたある企業の人材開発部の部長が、
このようなことを話された。
「研修の受講者が職場に戻ってから、
 こんなことができるようになったと報告してくるんですよ。
 例えば、『部下の言い分を最後まで聞けるようになりました。
 感情的に声を荒げて起こらないようになったので、
 以前よりも部下のほうから相談してくれるようになりました』のように。
 でも、大げさに話しているな、とわかる時もあるんです。
 事実と違うなって。
 だって、同じ職場の他の人からも、その人のはことは耳に入りますから。
 でも、『そうですか。よくやりましたね』と、
 何も知らないふりをして、信じてやるんです。
 そうすると、その人は、自分が話したことが事実になるように、
 次から行動が変わるんですよ」
部長はそのときの会話のやりとりが浮かぶのか、
遠いところを見るようなまなざしで、静かに話されていた。
やはり、人は期待されるようになっていく、のである。

あなたは、部下に、身近な人に、
どんな「期待」をしているだろうか。
自分の心の内側に静かに耳を傾けてみよう。
一人の人の中には、過不足なくすべての資質が備わっている。
責任感をもってやる時もあれば、
ない時もある。
柔軟に考えられる時もあれば、
こだわってばかりの時もある。
規則を守る時もあれば、
守れない時もある。
相手が持っている「資質」の中で、
あなたが引き出したいものに光を注ぐ。
「期待」という言葉で、
それを伸びやかに表現できるようにしていく。
自分にそのように関わってくれる上司を、
部下は待っているのではないだろうか。

さあ、あなたは、部下にどのような「期待」をする?

・・・・・・・・・

人は相手の期待に応えるように振る舞う。
そうしているうちに、それが事実だと本人さえ錯覚してしまう。
その人の真実など誰しも実はわからない。
事実と判断する解釈がそこにあるだけ。
私は相手に何を期待し、
何を引き出してしまっているのだろうか。
人と人の影響力たるや、私たちが思う以上に力がある。

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