今日は、部下や後輩を指導育成する時のスタンスを少しばかり。
「猪俣さんから、『準備が雑!』ってきっついこと言われたのを
今でも覚えているよ」
講師仲間のAさんから言われた。
しかし、私がそれを言ったのはもう10年も前のことだ。
随分と根に持たれているらしい。
「同じことをBさんから言われたよ。『本当にお粗末な準備ね』って」
Bさんは私もよく知っている人だ。
私が言ったのが10年前だから、
Bさんがそれを言ったのは、8~9年前くらい?
「いつ言われたの?」
「去年の夏かな」
えっ、去年!
つい最近ではないか。
私から「準備の仕方が雑」と指摘され、
今でも同じような指摘を受けるとは。
人は変わらないものだな、というのをしみじみ実感した。
根本的な物事の癖というか、捉え方というか、
行動のパターンというか。
だから、言いたいことは何かというと、
人を指導育成する場合、
「一回伝えれば、相手は理解し変わる」なんてことは「ない!」。
それを自覚したうえで指導育成したほうがよいということだ。
だったら、あきらめたほうがいいのかというと、
それとこれとは違う。
その人がその人である根本的なところは、
他人からああだこうだ言われたところで、変わるわけがない。
(もちろん、本人自身が変わろうと思ったら、変われるが)
それよりも、今までと異なる考え方や行動など、
新しいパターン(知識、スキル、方法など)を身につけてもらうイメージで、
指導育成したほうが、こちらもずっと軽やかな気持ちでいられる。
それに、相手のできたところや以前よりは成長したところも、
見えるようになってくる。
そうやって観察してわかったことを、
相手に伝えたくなる。
伝えれば、相手は喜ぶだろうから、
お互いの関係がよりよくなっていく。
指導育成というのは、忍耐ばかり。
どうして何度言ってもこの人は変わらないのか。
その思いは、手放してしまおう。
変わらないのが人。
それがわかっているからこそ、
何回も何回も繰り返し、同じ指摘ができるというもの。
相手が変わらなくても、少しでも平常心でいられるようになるもの。