ある空港で、お土産を選んでいた時のこと、
入ったお店の販売員三人の女性がおしゃべりをしていた。
私が近づくのに気づくと、三人固まって、さささっと離れる。
今度はさっきよりも小声のおしゃべりになっている。
どうしようか、注意したほうがよいか。
ためらう。
しかし、彼女たちにとっては、ここで言われなければ、
これからもこのままだろう。
それに、上司から注意されるよりも、
お客さまから言われたほうが受けとめやすいものだ。

「ここでは、おしゃべりしないほうがいいですよ」

瞬間、三人とも視線を私からさっと外し、
ふてくれさたようにも見える表情になった。
だが、その後の彼女たちの態度は見事に変わった。
お客様に声かけをしたり、商品を揃えたり、
態度は、販売員のいわゆる「接客」に変わった。

しかしなあ。
自分の言いようを振り返る。
もっと、他の言い方はなかったものか。
大体、「おしゃべりしないほうがいいですよ」なんて、「忠告」じゃないか。

相手がとっている行動を変えてほしいと思うことは、
日常茶飯事よくあることだ。
特にリーダーにとっては。

以前、友人がプロジェクトリーダーについて、こう言っていたことを思い出す。
「うちのリーダーって、私たちに依頼するときに
『ねえ、○○○してくれると嬉しいなあ』っていう言い方をするの。
なんだか、彼女の意図どおりに動かされているような感じが残るんだよね。
それよりは、『○○○してもらえますか?』『○○○してください』って、
何をしてほしいのか、はっきり言ってもらったほうが、気持ちがいいのに」

それを聞いて、「そうか。なるほど。私ははっきり言える人になろう」
と、思っていたはずなのに。
相手の気持ちを慮って、どう言おうかと表現をあれこれ考えているうちに、
本心を妙にオブラートに包んでしまう。
結果的に、言われた相手は気を遣うようになってしまう。
してほしいことがあれば、「○○してほしい」と何故ストレートに言えないのかと、
不信感も感じるようになるだろう。
それでは、お互いに目標達成のために協力しあうような、
パートナーシップの関係などできようもない。

お土産屋さんでの私のことに戻れば、率直にリクエストすればよかったのだ。
「お願いがあります。お店の中では、おしゃべりしないでいただけますか?
 そうしていただけると、買い物に集中できますので」
と。
そして、買い物が済んだら「ありがとう」とにこやかに伝えて、
お店をあとにする。

なんてことができたら、かっこいい。
次回からそうしよう。

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