株式会社コーチエィが提供するコーチングプログラム、
Coachacademiaでクラスコーチを担当している。
担当しているのは、2006年の4月からだ。
(当時は株式会社コーチトゥエンティワン。
プログラム名は、CTPという名称。)
クラスは集合型ではなく、電話会議システム。
だから、声だけのやりとりだ。
声の大きさ、速さ、トーン、呼吸と呼吸の間を聞きとりながら、
それぞれのクラスのコンテンツの学習目的に達成するよう、
ファシリテーションする。
さて、せっかく憧れのクラスコーチに合格したというのに、
当時の私は嘆いていた。
声だけのやりとりでファシリテーションをすることに。
そんなある日、
コーチングの勉強会に参加した。
コーチングエクササイズの時間。
私はクライアント役。
コーチ役はSさん。
コーチングを学び始めて半年足らずの方だ。
Sさん「猪俣さん、よろしくお願いいたします」
私「よろしくお願いいたします」
Sさん「テーマは何ですか?」
私「そうですね。今年の4月にクラスコーチとして、
クラスを担当するんです。
それについて話がしたくて・・・」
Sさん「はい」
私「実は私は視覚優位なんです。
なので研修はとてもやりやすいんです。
言葉だけのやりとりのクラスでは、
表情が見えないので、とても不安です。
どうしたらいいものかと・・・」
とうとうと、どれだけ大変なのかを語った。
Sさん「でも、クラスは会話だけのやりとりですよね。
お互いの表情は見えない環境ではないかと。
それがわかっていてクラスコーチになったんじゃないですか?」
Sさんの声のトーンに、
私への批判や批難の色合いはまったくない。
何か気づかせようと作為ある質問でもない。
純粋に疑問に思ったことを質問にしただけだ。
しかし、がつーん! ときた。
確かにそうだ。
わかっていてクラスコーチにチャレンジし、合格したのだ。
なのに、今さら、相手の顔が見えない、表情が見えない、
様子がうかがえない、声だけのやりとりでファシリテーションするなんて、
どれだけ大変な環境と話したところ、
何も始まらない。
結局、私はぼやきたかっただけなのだ。
何をすべきかはわかっている。
しかし、「それは大変ですね」と共感してもらいたかったのだ。
Sさんにしてみたら不思議だったに違いない。
初めからわかっていることなのに、
何を今さら言っているのだろうと。
「そうですね。
だからこの時間では、クラスコーチデビューに向けて、
どのような準備が必要かを考える時間にしたいです」
そうエクササイズの会話を仕切りなおした。
ふと思った。
ああ、私はこういうところがあるな、と。
今、自分が何をすべきかはわかっているくせに、
それをするのが面倒、しんどく感じて、
やりたくないと駄々をこねるということを。
ぼやくということを。
その目的は?
「大変ね。でも大丈夫。あなただったらできるから」
そう励ましてもらいたかったのだと思う。
そのニーズに良い悪いはないが、
ぼやきをただ聞いてる相手からしてみたら、
いい気持ちになるわけがない。
耳をふさぎたくなるネガティブな響きなのだから。
コーチングを学び始めて
まだ半年のSさんのコーチングから学んだこと。
見た目よりも私は女々(めめ)しい。
ほっとくと、結構ぼやくタイプ。
で? どうするの?
ぼやきそうになったら、まずそれに気づくこと。
そして、
ぼやく代わりに、ビジョンを語ること。
今回だったら、どんなクラスにしたいか、
どのようなクラスコーチになりたいか、
クラスの参加者がクラスを受講した先に、
どのように成長をとげ、どのような成果を手にしてほしいか、
など・・・。
新米コーチに舌を巻く。
純粋なる興味関心からの質問ほど、
妙な意味が付着していない故、
枠を超える気づきをもたらす。
そして今はどうか。
ぼやきたくなったときは、
「これから愚痴を言うから聞いて」
と宣言している。(つもり)
それで「ただ聞いていてくれないかな」とお願いする時もあれば、
「励ましてほしい」とお願いする時もある。
今はそんなやり方を気に入っている。
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