先日、コーチング研修で、
私がコーチ役になってデモストレーションをした。

確信した。
やはり「この質問はよい!」と。
その質問を今日は紹介しよう。

そのデモンストレーションの会話では、
次のようなやりとりがあった。
ちなみに、相手の方は人事担当者の方だ。

「Aさんは上司としてどのような課題を感じていらっしゃいますか?」
「部下のTさんのことです。
 彼はここに異動して二ヵ月経ちますが、
 来月半ばに講師として登壇する予定です。
 いつまでにどのようにと、登壇までの行動計画をたてていますが、
 思ったように指導が進みません。
 Tさんも『まずいですよ! 登壇の日が来ちゃいますよ!』と焦っていて、
どうしたものかと・・・。」

その後、Aさんにとって気がかりになっていること、
理想の状態に向けて日頃していること、
やろうと思っているものの、
やっていないことなどを話してもらった。
その間、およそ5分間ほど。

他にどんなやり方があるというのか?

私たち二人の雰囲気が煮詰まってきた。
このままお互い話していても、堂々巡りになるだけ・・・。
できることは全てやっている。
やろうと思ったって、
忙しくてそんな時間がつくれないんだ。
どうすりゃいいっていうんだよ。
俯き眉間にたてじわ寄せて黙り込む、
Aさんの心の声が聞こえるようだ。

「Aさん」
「はい、なんですか?」
「Aさんは、責任をもってやり遂げることを大切にしていますよね。
 主体的な人だと思います。
 そういうAさんですからこそ、したい質問があります」
「ええ、どうぞ」
「もしも、今の現状をつくっている要因がAさんにもあるとしたら、
 どうですか?」
「えっ? ・・・(無言)・・・・。
 そうですね・・・。
 今、自分も新しい仕事に取り組んでいまして・・・。
 実は、自分のことで精いっぱいなんです。
 Tさんに声をかけることが少なくなっていますね・・・。」
「そうですか。実はそうだったんですね」
「・・・・・・・・」
「今、何を考えていらっしゃいましたか?」
「今の質問、すごく考えました。
 まだやれることはあるな、と思いました。 
 明日、Tさんに声をかけてみます。
 これからどう進めるかを一緒に考えます」

この質問はよい、と確信した質問?
そう。それがこれだ。

  今の現状をつくっている要因が、
  あなた自身ににあるとしたら、
  どうなのか?

あの人のせいだとか、
環境や体制のせいだとか、
上手くいかない現状の要因が、
周囲にあると捉えていたら、いつまでも受け身のままだ。
しかし、今の現状を自分自身も作っている一員と捉えられたら、
自分がつくったものなのだから、
自分でいかようにでも変えられる可能性はあると思える。
その立場にシフトできたときに、
視界が開けるはずだ。
まだまだできると、可能性さえ感じられるはずだ。
そう、「受け身」のただ見ている立場から、
「主体性」を取り戻せる瞬間なのだから。

さっきの質問は、
それだけのインパクトを秘めている。

まずは自分自身に問いかけてみよう。
きっと、まだまだできることはある、
やり直せることも、いくらでもある、
そう前向きに考えられるようになるはずだ。
それを実感している人が問いかけるからこそ、
この質問の効果は引き出される。

「今」という瞬間は、残りの人生のいつも「最初」。
思うようにいかない、上手くいかない、
でも、いつまでもそこにぬかるんでいてはならない。

よき質問をして、今の時間をよきものにしていこう!
そう、よき質問をして。

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