実は私は、相手から「わかりません」と言われると、
胃のあたりがきゅっとくるというか、
ちょっと緊張する。
一人勝手にハラハラしてしまう。
「こんなこと聞いてこないでよ」、
なんて思われちゃったらどうしよう。
不愉快にさせちゃったらどうしよう。

と思っていたくせに、
先日、研修内容のすり合わせをしている時に、
さかんに「わからない」と繰り返している自分がいた。
何が「わからなかった」というと、
質問のスキルに「チャンクダウン」「チャンクアップ」というのがあるのだが、
どのようなデモンストレーションをすれば、
参加者にその効果たるものや明確になるのか、
そのやり方が「わからない」という意味で使っていたのだ。
しかし、それを聞いた相手の方は、
私がそもそも「チャンクダウン」「チャンクアップ」という
意味そのものが「わからない」と思ったらしく、
「チャンクダウン」「チャンクアップ」とはいかなるものかを、
とうとうとレクチャーし始めた。

ということはだ。
「わかりません」と言っている時でも、
人は全部が全部100%わからない、ということではないのだ。
「わからない」なりに、
「わかっている」ところもあって、
ただ、「何がはっきりしていないのか」が、
自分の中でまだ「あいまい」ということ。

ここから学んだこと。
それは、こちらがした問いに対して、
相手が「わかりません」と返してきた時は、
さらに確認したっていいということ。
「“わかっている”ことは何なの?」
と。

それでも、相手が「よくわかりません」というのであれば、
その時に相手に訊ねた質問の意図を伝えてあげよう。
例えば、「どんなリーダーになりたいの?」という質問であれば、
「自分が目指すリーダー像が少しでもはっきりしているほうが、
 真似たい対象があるということだから、
 人としての成長も早くなるよ。
 こういう時はどのように判断するといいか、
 どのように振る舞うといいのか、
 迷いも随分なくなると思う。
 あなたにとって、大切なことじゃない?
 だから、一緒に考えてみようよ。どうかな?」
のように。
あなたにとって、こんないいことがある、
というメッセージをのせて。

つまり、「考えたくなる」ような気持ちになるよう、
関わっていくということだ。

そんなことを、先日、研修中に実施したエクササイズで、
相手からの「わかりません」に絶句して、
目が泳いでいた方にお伝えした。
それを聞いて、随分ほっとした表情をされていたなぁ。

「わかりません」
相手がそう言った時こそ、
新しいコミュニケーションが始まるチャンスだ。
一瞬たじろいだとしても、
果敢に相手に向かっていこう。
失敗、上手くいったこと、そしてまた失敗。
どんな体験であっても、
それらは全て、私たちのコミュニケーションという筋力に
なっていくものだから。
いずれ、どんな人が相手であっても、
揺るぎなく堂々といられる自分になっていくだろうから。

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