今日も前回に続き、「沈黙」について語ろう。

「なかなか話さない新人に、どのようにして話してもらえばいいんですか?」
研修中、参加者から質問をいただく。
上司というのは、
どの職場でも、どの企業でも、人間関係に相当気を遣っているものだ。
部下や若手が気持ちよく仕事ができるように。
部下や若手がやりがいをもって働けるように。
だから一生懸命、話題を探しては何か話そうと努力する。

さて、上記の質問をいただくと、いつも同じように答えている。

「話さなくていいんですよ」
「えっ、話さなくていいんですか?」
「そうです。沈黙を一緒に味わえばいいんです。
 会話は、言葉だけでなく、言葉と沈黙で構成されているんですから」

そんなやりとりをすると、
決まって相手の方は、とてもほっとされた表情をされる。
無理して話さなくてもいいのかと。

沈黙。それは「間」と同じ。「空白」と同じ。

以前、私は印刷会社で働いていたが、
その時に学んだことがある。
デザインの良しあしというのは、
「空白」がどれくらい活きているか、によって決まるということを。
素人とプロのデザインは、それがまるで違う。
素人は、限られたスペースに、あれもこれもと詰め込みすぎるきらいがある。
しかし、プロのデザインは、「空白」もひとつの要素であり、
写真、イラスト、キャッチコピー、リード文、本文、イラストなど、
それらひとつひとつの要素に存在感と役割を持たせ、
すっきりとした配置に創り上げる。
結果、非常に洗練された印象になる。

会話もまったく同じこと。

相手と関係を創るのが長けている人は、
気持ちにゆとりがあるから、
あえて「沈黙」の時間を効果的に創る。

相手にしてみたら、
何も話さなくても、話せなくても大丈夫、
この人は待っていてくれる、と思えて初めて、
「じゃあ、この人にあのことを話してみようかな」
と、心を開くようになるもの。
少しずつ、少しずつ。

沈黙を一緒に味わう。
プロのコーチは、自然にそれをしているし、
沈黙に相手の心の声を聞いている。

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