先日実施した研修受講者は、
新人含めて若手社員。
「研修で学んだこと、これから活かしたいこと」を
研修の最後の時間に全員に話してもらう。
その日は、「ちゃんとメモをとります」
という宣言が目立った。
あれ? どうして?
そうか、そうだ。
あの体験を話したからだ。
その体験とは、次のとおり。

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新人の仕事の中心は「聞く」ことです。
電話をとって聞くこともあれば、
上司や先輩の指示を聞く、それらが中心です。
その時に、メモをとっていますか?
メモはとってくださいね。必ず。
私は、メモをとらないで失敗して、
とても恥ずかしい思いをしたことがあります。
それは新人の時ではなく、30歳の時。
印刷会社で働いていた時です。
昼休み直前に、ある会報の校正をお客様がお持ちになりました。
その時、担当されたお客様は、ホテルの専務の方でした。
「いらっしゃいませ」と出迎えたものの、
違う仕事で頭がいっぱいの私は、
正直「タイミングが悪い時にいらっしゃったな」と思いました。
専務の方が丁寧に修正や変更箇所を話されます。
その箇所は三か所程度。
内容も複雑ではありません。
これくらいだったら覚えていられると、
「はい、はい」とうなづきながら神妙に聞いていました。
ひとしきり校正箇所を話された後です。
専務の方がおっしゃいました。
「あなた! 大丈夫なんですか?
 さっきからメモをとっていないじゃないですか!」
表情は変わらずとも、
声のトーンは明らかに私を責めるものがあり、
はっとしました。
しまった、と思いました。
それから慌てて、「ここはこうですよね」と
なぞらえるように書きましたが、もう後の祭りです。
「ふん」と帰られたそのお客様は、
それからお会いしても、私に話しかけることはありませんでした。
ここで私が学んだのは、とにかくメモをとること、です。
たとえ複雑な内容でなくても。
メモを取りながら聞くことで、
相手は、「自分の指示を間違いなくちゃんと聞いていてくれる」
と安心感を感じてもらえものだと。
その積み重ねが信頼になっていくのだと思いました。

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我ながら恥ずかしい失敗談。
これが受講者の新人に、かなり印象に残った様子。
「メモをとってくださいね。必ず」と、
正論よろしくそれだけ伝えるよりも、
自分の体験を物語にして語ったほうが、
「なぜ、それが大切なのか」という意味づけができるとともに、
より相手の心に迫って届く。
この場合は、追随体験というよりは、
「ああ、自分はこんなことになりたくない!」と、
いう思いだったが・・・。
それでも、わかってほしいことがわかってもらえるのであれば、
こちらの目的はかなっている。

ストーリーテリングの効用をあらためて知る。
相手の意識にちゃんと届き、
相手も自ら自分のとる望ましい行動を選べる。
しかも、その行動は継続される可能性も高い。

あなたはあなた自身の何の体験をベースにして、
何を伝える? 伝えたい?
あなたの過去の眠れる体験。
相手の心を動かす輝くリソースにしよう。

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