あるプロジェクトチームで働いていた時の、
一緒のメンバーは本当にいい人たちだった。
相手の話をよく聞き、否定せず、
どうしたらできるかを考え、
やると決めたら行動も早く、
実際になんとか形にしてしまう。
人はそれぞれ、その人なりのやり方があることも心得ている。
そういうメンバーとともにいると、
自己肯定感も高くなるし、
私は大丈夫、という自信も持てるようになるし、
何よりも仕事に挑戦したくなってくる。
よいループ満載なのだ。

しかし、ひとつだけ物足りないことがあった。
それはフィードバックだ。
実現したい状態に向けて、今はどうなのか、
フィードバックを相手に求めたり、
相手に伝えるという、
お互いにフィードバックしあうという習慣が
このチームにはあまりないかな、という印象だった。

改善ポイントって、自分でもうすうす気づいているものだ。
だから、他者から改めて指摘されれば、
「やはり変えていこう」と行動に加速がついていく。

そこで、そのチームでは、
私からフィードバックをリクエストしてみた。
「一連のこのプロジェクト活動において、
 私のとっているコミュニケーションってどう?
 よいところや改善ポイントも含めて、
 フィードバックくれないかな」
翌日、あるメンバーがメールで早速フィードバックをくれた。
彼女にお礼を伝えたところ、こう言われた。
「猪俣さんばっかりずるいです。
  私にもフィードバックください」
え? これを“ずるい”と捉えるのか? 
その解釈が面白いと思いつつ、確認してみた。
「何についてのフィードバックが欲しいの?」
「周りからどう見られているのか、とにかく知りたいです」

「その言い方、失礼だよ」「もっと先輩を敬って!」など、
日頃は私も伝えたい放題だったので、
(口が悪い者同士)
彼女の強みと感じるところを書いてメールで送った。
“仕事に取りくむスピードが全員の中で一番早いです。
 ミッションに対して、すぐやる、どうしたらやれる、
 という姿勢なので、私も多いに学んでいます”
というニュアンスだったと思う。

その後の彼女の反応に驚いた。
「私ってそういうところありますか?
 自分じゃ、全然気づいていませんでした。
 そうですか、仕事、早いですか?
 これを自分の強みとして、
 より磨くべく、自信をもって仕事をしていこうと思いました」

まさか、自分ではそう思っていなかったなんて・・・。
驚きだ。
自分のことは、自分が一番よくわかっている。
と言う言葉もあるが、
自分が一番わかっていないことのほうが多い。

フィードバックをリクエストすれば、
今度は、反対に相手からフィードバックを求められる。
お互いにお互いからもらったフィードバックを活かし、
よりよい状態を一緒につくっていく。
「可能性」というのは、
フィードバックが活かされる場から芽生えるといっても、
過言ではないな。

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