(前回からの続き。facebook「講志塾storyI」から転載)

研修での自己紹介は、
自身の「体験」を「物語」にして話すように準備しています。
いつも同じ「体験」というわけではなく、
研修テーマや参加者にあわせて、
なんの「体験」を素材にするかを選んでいます。
また、同じ「体験」であったとしても、
そこから伝えることを変えたりしています。
「部下や後輩を育てる、指導する」がテーマの内容でしたら、
おおむね次のように話しています。
(    )は、意図や目的を書きました。

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★自己紹介シーン1~銀行員時代

社会人としてのキャリアは、最初は銀行員でした。
私、実家が栃木県なんですよ。
そういうわけで、足利銀行で働いていました。
皆さんの中で、実は栃木県出身、もしくは親戚に栃木県出身の人はいらっしゃいますか?
(ここで、手を挙げる方がいらしたら、少し会話をします。
例えば「そうですか。そのあたりに住んでいらっしゃったんですね。私の実家と近いですよ。ニアミスしていたかもしれませんね」など。
場合によっては、親戚で足利銀行に勤めていた方がいらっしゃったとか、会社や自分が足利銀行と取引をしていた、なんて方もいらっしゃいます。
参加者にしてみると、講師の出身地を聞くことで、講師の人柄が想像しやすく少し安心するようです。)

さて、その足利銀行でしていた仕事は次のとおりです。
営業店で融資や預金の窓口業務を二年間、その後転勤して、
人事部で行員を対象にした研修事務、企画、講師の仕事をしていました。
(講師というと「自分とは違ってすごい人」という印象を持たれがちですが、営業店でお客様への来客経験がある人なのだと身近に感じてもらうこと、また、組織内で研修担当の経験もある人なのだという意味でも、これからの研修受講に対して、信頼感と安心感を感じてもらうようにしています)

(シーン2に続く)

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【解説】
ここまでの自己紹介のシーンは、それなりに神経を使うところです。
というのは、「銀行で働いていた人」=「優秀な人、上から目線」に感じられないように。
とはいっても、「ああ、銀行で採用になるくらいの人なのね」と
若干ながらも感じられてしまうと思うんですね。
人生、成功ロードまっしぐらの人のような。
これを、がーっんと落とすのが次に用意したシーンです。
ここまでの自己紹介の内容は、クライマックスのシーンのための布石なのであります。

第2章に続く