(前回からの続き。facebook「講志塾storyI」から転載)

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★自己紹介シーン3~印刷会社勤務時代~フィードバックを受ける、落ち込む、大いに学ぶ

すると、Tさんは「じゃあ、言わせてもらいますが」って言うんですよ。
えっ? 「言わせてもらいますが・・・」とな?
嫌な予感がしました。どきっとしました。

「猪俣さんの言っていることや、やっていることは正しいです」

皆さん、これ、どう思いますか?
「正しい」と言ってくれたんですよ。そしたらOKですよね?
よかった・・・と思いました。
しかし、「でも・・」とTさん、間髪入れず続けるんです。
逆説の接続詞ですよ。緊張しました。

「でも、もっと私たちの話を聞いてくれてもいいですよね。
 私たちのことをわかってくれてもいいですよね」

ああ、やっぱりな、と思いました。
周りとの人間関係が上手くいっていないと感じている時は、
やっぱり事実そうなんだと思いました。
「正直に言ってくれてありがとう」とTさんに伝え、その場は終わりました。

(※ 本当は、このフィードバックはものすごくショックでした。
 心臓が口から飛び出る、というのはまさにこのことかというく
 らいに。
 宇都宮の会社からさいたま市の自宅に戻る新幹線の中でも、心
 臓のどきどきがとまらず。
 しかし、そこまでここで説明しますと、参加者の皆さんは、気
 が滅入ってしまいます。
 場も重たくなります。ですので、あえてさらりと伝えています)

しかし、皆さん、私はTさんからとても大切なことを学んだんです。
(※ ここで、少し間をとります)

それは、『人は正論だけじゃ動かない』ということ。
(※ 人は正論じゃ動かない、というのと、人は正論だけじゃ動かない、というのは似て非なりです。ここがポイントです)

そうですよね?
だって、「猪俣さんの言っていることや、やっていることは正しい。
けれども、もっと私たちのことをわかって」というのは、
心から動けない、ということじゃないですか。

それと、もうひとつわかったことがありました。
ああ、私は信頼関係がつくれていないんだな、ということです。

(※ 「人は正論だけじゃ動かない。「何を言うか」、ではなく「誰が言うか」が勝る。その違いは、お互いの信頼関係がどれくらいできているかということ。これが本研修のコンセプトです。それを伝えるために、Tさんとのエピソードを活用しています)

自分のコミュニケーションの何かを変えないと、何も変わらないと思いました。
(※ 事態を打開するために、この講師は、自ら変わることを選んだ人、という印象を持ってもらいます。
目的は、参加者も自分の何かを変えるべく行動してみよう、という気持ちの促しになれば、というところです)

でも、皆さん、コミュニケーションって習慣なんですよ。
例えば、右利きの人が明日から全てのことを左手でやってください、と言われたらどうですか?
とてもしんどいですよね。
それと同じです。
ですから、一人でやるんじゃなくて、お金を出してでも、
コミュニケーションを学ぼうと思いました。
それだけ崖っぷちだったんです。
後継者という立場でもありましたし。
時間があまりなかったのです。
そこで学んだのが、コーチトレーニングプログラムでした。
コーチトゥエンティワン、今は社名変更して、コーチエィという会社のところのです。
三年間。こういう集合研修じゃなくて、電話会議なんですよ。面白いでしょ?
さて、それから私はどうなったのか。
学んだことを、とにかく職場で実践しました。
すぐに変化は出ないです。
すぐに変化が出たら、かえっておかしいです。

(※ すぐに結果を求めるのではなく、ある程度時間が必要、ということを示唆します。学んだことをあきらめず、継続、継続、継続することが大切、という)

一ヵ月経ち、三カ月、半年、そして一年経ったときに、ある変化がありました。
それは・・・

(続く)

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【解説】
ここまでで、参加者の皆さんの印象に残したいポイントは、次のことです。
  ・フィードバックをもらったら、相手にお礼する
  ・人は正論だけじゃ動かない
  ・お互いの信頼関係がどれくらいなのかが大きく影響する
  ・私がコーチングを学ぶに至った経緯
    → 完璧な人なんじゃないんだ。
      苦しかったことがあったんだ。
      それを乗り越えたんだ。
      現場でもまれた人なんだ。
  ・コミュニケーションは習慣。
   だから変えようと思ったら時間がかかって当然
さて、私にはどんな変化が起きたでしょうか?
続きにこうご期待。
今度は読んで「ほっ」とする展開ですよ。

第4章に続く