メンバーや部下にやる気をもってもらいたい。
それだけで十分だろうか?
十分なわけはない。

相手には、自らやる気をもってもらい、
自分の意志で行動してほしい。
やっていないことにも、勇気をもってチャレンジしてほしい。
せっかく続けたことなのだから、続けてほしい。
役に立っていないことや、
やめようと思っていることは、
強制されるのではなく、
自分でやめられるようになってほしい。

そう願うのではないだろうか?

そのための一つの関わり方として、
紹介したのが、今回のタイトル「体験を話す」というスキルだ。
実は、このことについては、
facebook『講志塾storyI』でしたためている。
私が研修講師の仕事をしている時、
研修という場面で、受講者の意欲と行動を呼び起こすために、
この「体験を話す」というスキルをどのように活かしているのか、
について書いたものだ。

それは、リーダーとして、上司として、
それぞれの職場において、メンバーや部下とともにいる時にも
もちろん同様に活用できる。
そこで、こちらのページでもあらためて共有しようと思う。

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(以下、facebook「講志塾storyI」より転載)

◆序章 「あなたの話がもっと聞きたい!」と思われるには?

講師として、私が最も力を入れているのが、「物語る」ということ。
「物語る」?
それは、聞き手に理解してもらいたいコンセプトや思いを、
それらを思い起こさせる「物語」を通して伝えるという手法です。
その「物語」は、通常、語り手の身近な体験や出来事をベースにして作ります。
  とても納得した。
  説得力があった。
  話が面白かった。
  自分もやってみようと思った。
  もっと聞きたかった。
有り難いことに、研修の参加者からこのような感想をいただきます。
察するに、「体験を話す」効果が十分に表れたからでしょう。

さて、私たちの「体験」には、
聞き手の感情を動かすだけの大きな力があります。
話された体験、すなわち「物語」には、
聞き手自身がその物語を体験しているかのような状況をつくります。
感情移入された物語は、聞き手の脳に強く印象に残ります。

しかし、反面、リスクもあります。
「体験」には、話し手がどれだけの人なのか、
どういう人なのかも全て伝わってしまうもの。
また、伝えたいことの目的があいまいなまま、
だらだらと話せば、聞き手は混乱するばかり。
そのスキルは、とてもデリケートなものなのです。

さて、研修の導入の場面で、私は毎回自分の物語を話します。
目的は、聞き手に次のことを知ってもらうため。
 ・この研修を受講すると、自分にとってどんないいことがあるか
 ・なぜ、この講師は、この手の研修の講師ができるのか?
  研修コンテンツと講師の関連性は何か?

これさえ聞き手である参加者に浸透できれば、
その時から参加者はぐっと研修に前のめりに受講できるようになるはずです。
「この講師と同じ体験をしてみたい」と思ってもらえるはずです。
それを狙っての私の「体験」を物語にして話しています。
次回は、それを参考までに紹介します。

第1章に続く