部下育成研修では、
部下の強みを見つけ活かすこと、
また、相手の個性を活かした関わり方を学ぶ時間をとっている。
受講された方の感想は、概ね次のようだ。

  相手のタイプをちゃんと見極めて、
  今日学んだことを使って、
  相手が受けとりやすい声かけや関わり方をしよう!

しかし、それは現実的だろうか?
相手のタイプをちゃんと見極める、なんて、
日頃仕事をしながらできるだろうか?
相手が受けとりやすい声かけを考えているうちに、
タイミングを逸してしまうのが関の山ではないか。

多分、そうなるだろう。
それが続くとどうなるかというと、
研修でちゃんと学んだはずなのに、
やっぱりできない。
そもそもどれくらいできているのかも自分じゃわからない、
上手くいっているのかもわからない。
そのうち、今のままでもいいやになる。
研修でよいことを教えてもらったけど、
実際は違うよね、と尤もらしい理由をつくり、
結局以前と変わらじ・・・になるのではないか。

そうなるのが普通だから、
研修で私は次のように言っている。

 皆さん、今日学んだことをちゃんとやろうと思っていませんか?
 (うんうん、と頷く参加者の皆さん。)
 そんなの無理です。できっこないです。
 (えーっと驚く表情の皆さん)
 これはあくまでもペーパー上では「こうだ」ということです。
 大体、人が「この人はこういうタイプだ」なんて、
 わかりっこありません。
 何回も言ったように、
 一人の人の中には、複数のタイプの特徴がブレンドされています。
 その時その状況に応じて、
 自分の内側のどんな特徴をだしていくかは、
 その時その時で変わります。
 だから、見極めるのは無理です。

はあ、そうか・・・。
と、参加者の皆さんはがっかりするよりも、
肩の力が抜けたようなリラックスした雰囲気になる。
気持ちが楽になるのだろう。
そんな様子になったのを見て、続けて言う。

 相手にどんな強みがあって、どんな時に発揮されるのか。
 相手はコミュニケーションの4つのタイプの
 どのタイプの傾向が特に強いのか。
 自分ひとりでもんもんと考えているんじゃなくて、
 相手に聞いてください。
 あなたはどんな強みがあるの? と。
 この研修資料だって見せちゃっていいんです。
 この前、研修で面白いのを学んできたんだって言いながら。
 私はこのタイプの傾向が高いけど、
 あなたはどうかな? と。
 それが、相手に興味や関心をもって、
 一緒にいい関係をつくっていこうっていう
 コミュニケーションじゃないですか

そんなことしていいんだ、と、
はっとされた顔になられる。
そう、していいのだ。
研修で学んだこと、上司から指示されたこと、
数字やプロジェクトの目標達成などなど、
自分ひとりで頑張りすぎなくていい。
わからないことは、
自分ひとりで「ああかな、こうかな」ともみすぎない。
気を配りすぎない。
相手に聞いちゃえばいい。

もしかしたら、
そんなことをしたら相手が訝しがるのではないかと
心配だろうか?
もしもそうだったら、
どうしてそれを相手に聞くのか、聞きたくなったのか、
自分の思いや考えを自分の言葉で相手に届ければいい。
 あなたが仕事がもっとしやすくなるように、
 どんな声掛けをしたらいいかな、と考えている。
 それで、教えてもらいたいんだけど・・・・(続く)
などのように。

私も印刷会社で働いていた時に、同じことをした。
コミュニケーションの4つのタイプの資料を見せて、
 私はプロモータータイプ。
 AさんやBさんは何のタイプかな。
 それぞれのタイプごとに、
 心に響く誉め言葉が違うのが面白いでしょ。
と資料だけ渡して去った。
その後、部下たちは私に気づかれないように、
柱の陰に隠れて、「猪俣さん、すごーい」と、
私を褒める練習をしていたことがある。
何をしているのかと私から問い詰められた部下たちが、
「きゃー。いえ、なんでもありません!」と、
あわてふためいていた様子は今思い出してもおかしい。
しかし、こういうことがきっかけで、
彼ら彼女らとわかりあえるようになっていったように思う。

上司としてリーダーとして、
もちろん頑張る。
しかし、頑張りすぎない。
それも大切なことの一つ。

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