「もう気になって、気になって。
 あの人のため息を聞くと、もうやる気がなくなっちゃんうですよ」
知人の女性、ほとほと困っている様子。
「なんでその人はため息をつくんでしょうね?」
「自分はこんなに仕事をしているっていうアピールだと思うんです」
「はあ」
「私たちから気遣ってほしいという」
「それで、どうするんですか?」
「他人は変わらないっていうじゃないですか。
 だから、なんとか気にしないように努力するしかないです。
 でも聞こえてきちゃうんですよね・・。
 もう耳栓するしかないかと思っているんです!」
今度は彼女がふぅーとため息をついた。

ため息か・・・。
気になるだろうなあ。
私もわかるわかる、と共感したまま終わってしまった。
ただ、それで根本的な解決になるかというと、
彼女はこれからも今と同じことが続くような・・・。

違和感を感じた。
「相手は変わらないから、じゃあ自分はどうする?」という、
なんとも短絡的な会話の方向になってしまったことに。

そうか。
起きた出来事に対して、
一過性の課題解決思考になっていたからだ。

最も大切な視点は、
「ため息が聞こえる」という事実に対して、
彼女が嫌な気分になるという「反応」をしてしまっているということだ。
だから今後の対応としては、
そういう人に対してどうする? ではなく、
「なぜ、自分がその事実に反応しているのか?」
という理由を知ること。
起きた事実にいつもいつも反応してしまうのではなく、
同じように感じたとしても、それはそれとして受け入れて、
対応できる術を身につけることだ。

だから、次のことを振り返ったほうがよかった。
なぜ、自分はそのことがそんなに気になるのか、と。

思い出してみると、
彼女は「人を喜ばせる」ことをとても大切にしていると言った。
小さい頃から、両親から「人を喜ばせないさい」というメッセージを
感じながら生きてきた・・とも言っていた。
もしかしたら、他人のため息が気になるのではなく、
ため息で人の気分をネガティブにさせているその人の行為そのものが
許せないような、嫌な気持になっていたのかもしれない。
それは彼女が大切にしている「人を喜ばせる」ものではなく、
「人を疲れさせる」ことだ。
自分が生きていて大切にしていることと
全く反対のことが目の前に繰り広げられているのだから、
嫌な気分にもなるだろう。

何が自分を嫌な気持にさせているのだろうか?
相手の行動、言動、考え方・・・だとしたら、
なぜ、その相手の行動、言動、考え方で、
私は嫌な気持になっているのだろうか?
それらを考えることで、本当の原因が見つかる。
自分を嫌な気持ちにさせている原因がはっきりすれば、
同じような事実がこれからもあったとしても、
嫌な気持ちにはなっても、
それに振り回されてしまうことはない。

一過性の課題解決にならないように。
それは、物事の問題解決のみならず、
人間関係の問題解決にも活用できることだ。

とそんなふうに彼女と関わればよかった。
今度会ったときに、フォローしてみよう。

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