いつぞやの新聞記事だったか・・・。
日経夕刊の切り抜き記事が出てきた。
人間関係に煩わさしを感じる方にとって、
このうえもないサプリメントにもなる内容。
そのまま転載したい。
なお、書かれた方は、
ピースマインド臨床心理士 渡辺真里子さんだ。

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抱え込む自分に気づく

入社三年目のA子さんは、新入社員に優しくできず、悩んでいた。
ささいなことでイライラし、声を荒げてしまう。
後輩は一生懸命で、ミスも笑ってすませられる程度なのに。
上司や同僚からは、「もっとおおらかに」とたしなめられるが、自制がきかない。

カウンセリング室に現れたA子さんは、ここでも「あなたが悪い」と叱られるのだろうとびくびくしていた。
そこで「その新人さんの嫌なところを全部聞かせてください」と尋ねてみた。
A子さんは「いいんですか?」と驚きながらも、堰を切ったように話し始めた。
頼りなさげなところ、それでも周囲に許されてしまうところ、甘え上手なところ・・。

言うだけ言ってA子さんの肩の力が抜けたところ、さらに尋ねた。
「そこから連想することは?」
出てきたのは「私だって」という気持ちだった。
しばしその感覚にひたってもらい、こみあげてきた思いを話してもらう。
「私だって人に頼りたい。甘えたい。助けてほしい」
 
A子さんは四歳の時に妹が生まれ、急に「お姉ちゃん」になった。
母親のひざは妹のものになり、甘えたい気持ちを禁じて、何でも自分でできる良い子になっていった。
妹のような新人社員が現れたことでつらい感情がよみがえり、思わず彼女にぶつけていたのだ。

カウンセリングを続ける中でA子さんは、自分に禁じてきたことは自分で解禁できることに気づいていった。
幼い頃は甘えられなかったけれど、今ならそれを自分に許すことができる。
仕事を一人で抱えるのではなく、周りに相談したり、助けを求めたりする。

「頼る」ことへの禁を解き始めたら、不思議と新人社員の存在が気にならなくなったという。

人に対してイライラするのに、その理由がハッキリしない時、自分の心に目を向けてみよう。
「何とかしてほしい」と心が訴えているのかもしれない。
人のことは案外気にならなくなるものだ。

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今の自分を許す。
甘えるのではなく、許す。
それに向かうためには、
まず「いい子」になろうとせず、
堰をきるかのように思いのたけを話す(放す)ことも
大切なのかもしれない。