拙著『女性のためのリーダーシップ術』の目次は、全部で40項目。
その中で、ベスト3は何かと聞かれるなら、
「人は期待されるようになっていく」を間違いなく選びます。
本にも登場していますが、専門学校の先生の言葉は、
今でも力強く、私の心にリフレインしています。
今日は、ページ数の関係で入れられなかった内容を
ここに書いてみたいと思います。
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「期待」という言葉。
辞書を引くと次のように書かれています。
あることが実現するだろうと望みをかけて待ち受けること。
当てにして心待ちにすること。
と。
さて、あなたは、周囲からどのような「期待」をされているでしょうか?
反対に、部下や目の前の人にどのような「期待」をしているでしょうか?
約束を守る人、有言実行の人、思いやりがある人、嘘をつかない人…、
そんなポジティブな期待もあれば、そうでないものもあるでしょう。
例えば、気遣いをしない人、自分勝手な人、すぐあきらめる人、人の話を聞かない人…など。
人は、周囲からの期待に応えることで、自分の存在や価値を実感でき、
自信がもてるようになる。
それは、実際にあると思います。
あなたが自分にどう期待しているのかも大切ですが、
周囲からの期待は、目に見えずとも、大きな大きな影響を心に及ぼします。
さて、この私。
「フィードバックの女王」。
なんと、コーチ仲間からこのように言われていました。
8年くらい前のことです。
何に対してのフィードバックかと言うと、
例えば、コーチングのロールプレイの後のコーチ役に対してのものや、
また、研修講師のインストラクタースキルに対して…などです。
ただ、事実は、
そんなに優れたフィードバックをしていたわけじゃありません。
決して謙遜していません。
本当のところは、友人たちからからかわれていただけなんです。
はい、「いじられキャラ」なんですよ。私って、実は。(笑)
ちょっとからかうと「何よ、やめてよ!」と反応するので、
相手からしたら面白いんでしょうね。
しかし振り返ってみると、
相手からそう呼ばれることで、
その「期待」に応える行動をとっていたように思います。
コーチングの勉強会では、私がフィードバックする場面になると、
周りが耳をそばだてました。
どんなフィードバックが聞けるのだろうと、
わくわくして待っている表情や態度がじわじわと伝わってきました。
それを見て、なおさら気持ちが引き締まりました。
皆の期待に応えるようなフィードバックがしたいと、
スキルを磨くよう、努力をしました。
フィードバックの女王。
冗談のような、その呼び名。
その「呼び名」が周りからの「期待」となり、
「期待」に応えようとしているうちに、
限りなく「事実」に近づいていくことを経験しました。
そういえば、ある企業の人材開発部の部長が
こんなことを言っていましたっけ。
「研修の受講者が、職場に戻ってからこんなことができるようになったって
言うわけですよ。
例えば、
『部下の言い分を最後まで聞けるようになりました。
感情的に声を荒げて怒らないようになったので、
以前よりも部下のほうから相談してくれるようになりました』
のようにね。
でも、本当は少し大げさに話しているな、とわかる時もあるんです。
事実と少し違うなって。
だって、同じ職場の他の人からも、その人のことは耳に入りますから。
でも、『そうですか。よくやりましたね。』と、
何も知らないふりをして、信じてやるんです。
そうすると、その人は自分が話した内容が事実になるように、
次から行動が変わるんですよ。」
部長は、そのときの会話のやりとりが浮かぶのか、
遠いところを見るような眼差しで、静かに話されていました。
やはり。
人は期待されるようになっていく、のです。
その「からくり」を知っていれば、することはただひとつ。
周囲からのあなたへの「期待」が、もしも不本意に感じるようであれば、
そんな「期待」は思いっきり剥がしてしまいましょう!
そして。
部下に、身近な人に、あなたはどんな「期待」をしているのか、
自分の心の内側に静かに耳を傾けてみましょう。
一人の人の中には、過不足なくすべての資質が備わっています。
責任感をもってやる時もあるし、ない時もあります。
柔軟に考えられるときもあれば、こだわってばかりの時もあります。
規則を守る時もあれば、守れない時もあります。
相手が持っている「資質」の中で、あなたが引き出したいものに光を注ぐ。
「期待」という言葉で、それが伸びやかに表現できるようにしていく。
自分にそのように関わってくれる人を、
人はみな、待っているのではないでしょうか。
さあ、あなたは、相手にどのような「期待」をしていきますか?