「なかなか部下が話してくれないんですよ。
 どうしたらもっと話してくれるでしょう?」
管理職の方を対象とした研修の休憩時間でのこと。
参加者のAさんから相談を受けた。
Aさんは物静かな雰囲気で、
言葉も選びながら慎重に話される、落ち着いた方だ。

「どんな話をしてくれるといいですか?」
すると、
「困っていることがあれば話してほしいです。
 そういうことを抱えたまま仕事をしてほしくないので」
とおっしゃる。

そんなやりとりをしているうちに、
休憩時間も終わり、面談のロールプレイングに入った。
それは、三人一組になって、
一人が上司役、もう一人は部下役、最後の一人はオブザーブ役となり、
現場さながら練習をするもの。
そこでわかったのだ。
なぜ、Aさんが部下との会話が続かないのかが。
ロールプレイングの時間は10分間。
上司役のAさんと部下役の会話は次のようなものだった。

「何か困っていることはない?」
まず、Aさんが切り出す。
「そうですね・・・。これといってないですが・・・」
「なんでもいいんだよ。困っていることはない?」
「えーと、困ったことですか?」
「そう、困ったこと」
「えーと・・・。○○○○について、少し困っています」
そう部下役が言うと、
「ああ、あれね。あれは・・・・」
Aさんは、ひとしきりアドバイスをする。
「だから、次から○○○○してみて。わかった?」
「はい、わかりました」
「じゃあ、他にない? 困っていること?」
「えーと・・・。」

なるほど。
これでは会話が続かない。
Aさんにしてみたら、部下には気持ちよく働いてほしいのだ。
部下がそうなるように、サポートできる自分でありたいのだ。
相談にのってほしいのだ。
ならば、もっと部下が話したくなるような「声かけ」は、
他にどういったものがあるだろうか?

例えば、というところで私も考えてみた。
「さっき、課長から仕事を頼まれていた時、断れなくて困っているように見えたけど、
 どうなの? もしかしたら、その仕事をやるのは実は厳しい感じだったりして?」
「何か考えていることがあるの? さっきから腕組みしてパソコンを睨んでるけど。
 企画書、何か煮詰まっているの?」
「最近、少し元気がないように見えるけど、何かあった?
 私の気のせいかな。話すことで整理されることもあるだろうから、
 よかったら話を聞こうか?」

「どんな声かけをしたら、部下は心のうちを話してくれるだろう?」
考えて、考えて、考えよう。
ついぞ聞いてしまう「困っていることは何?」
そのフレーズから自由になろう!
声かけのレパートリーを増やそう!
周りの人がどんな声かけをしているのか、
観察してメモをとるのも、いいかも。

さあ、今度会った時に、部下になんて声をかける?
そう声をかけたら、どうなると思う?

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