かつて銀行で働いていた時は、女性の先輩たちから多くを学んだ。
今でもふと思い出す出来事がある。
それは、O先輩が私にしてくれた気遣いだ。

あれは、新入行員で融資の仕事をしていた時のこと。
お客様に取り急ぎ連絡せねばならないことがあった。
内容は、融資の契約の時に、ある書類を忘れずにお持ちいただきたい、というものだったように記憶している。
お客様の自宅に電話をしたが、誰も出られず。
仕方なく勤務先に電話をするも、ご本人は外出中。
折り返し電話をくださるようにお願いをして電話をきった。

さて、昼休みに食堂で休憩していたところ、職場から内線で連絡が入った。
融資課の先輩、Oさんからだ。

「食事中にすみません。あの・・・」
O先輩は、なぜか小声。
どうやら周りに聞こえないようにしている様子。
「さっき福田さん(私の旧姓)が連絡されたお客様から電話がありました。
 職場には連絡しないでくださいって言っていました」

あっ、しまった・・・。
恥ずかしさで顔が赤くなった。
しかし、O先輩の気遣いが嬉しかった。
さすがだな、と思った。
上司や他の先輩たちに気づかれないように、配慮してくださったのだ。
昼休みは一日で一番人が少なくなる時。
そのようなタイミングを見計らって、そっと知らせてくれたのだろう。
私に恥をかかせないように。

逆に、私が先輩の立場だったらどうだろう?
お客様の勤務先に電話をするなんて、お客様の立場も考えないで…!
いち早く注意することばかりに気がいってしまいそうだ。

気遣い。
それは、何もお客様に対してのものばかりではない。
一緒に働く相手にも大切なもの。
こちらが注意する立場であればなおさらだ。
決して恥をかかせない。
相手のプライドを尊重する。
それが難しいように感じてしまう時は、
O先輩がしてくれたことを思い出すようにしている。
そうすると、何をどうすればいいか、
おのずと答えが見えてくる。

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