「承認されたことがないから、
 どうやって承認したらいいのかわからない」
先日の研修で受講者が言う。
珍しいことではない。
たびたびそういう場面に出くわす。
そして最後はお決まりの一言。
「上司にも教えてあげてくださいよ」

承認とは、相手の存在を認めていることを伝える態度や振る舞い、
メッセージだ。
わかりやすく言えば「仲間はずれ」の逆のこと。

研修では次のように伝えている。
  人は誰でも、チームやグループ、
  組織の中で、自分は役に立つ存在でありたい、
  メンバーの一員としてちゃんと認められたいと思っています。
  それを満たすのが、承認と呼ばれているスキルです。
  それが感じられないと、
  周りから認められたいがための行動をとるようになります。
  それはエネルギーの消耗です。
  承認されることで、より安心感が感じられ、
  やってみようと行動のエネルギーが湧きます。
  それは、自信過剰にさせるとではありません。

人として自分という存在が、
周囲からちゃんと一人の人として認めてもらっている、
そう心から味わえている時こそ、
その人がもともと持っている能力や知識やスキルが
発揮できる準備が整うというもの。
それも自分のために、というよりも、
自分以外の誰かのために、組織のために、
自身のリソースを使おうと前向きになれる。

さて、それだけパワーのある承認だが、
「承認されたことがないのでわからない」
と答える人が多いのは、なんてもったいなことか。

  「○○さんは、爽やかですね」
  「○○さんは、お客様からとても信頼されていますね」
  「○○さんは、確実に仕事されますね」
  「○○さんの声を聞くと、爽やかな気持ちになります」
  「○○さんのように、私もお客様から信頼される人になりたいです」
  「○○さんは、確実に仕事されるので、安心して一緒に働けます」
  「先日の会議で○○さんの意見があったからそ、
   あの会議で目的を見失わないで済みました」
  「○○さんが、気づいてくれたことで、チームでミスが防げました」

相手の“いいな”と思うところを表現する。
それだけでよいのだ。
しかし、常日頃から相手をちゃんと見守っていなければ、
できないことだが。
なるほど、そうか。
承認することが苦手な人は、
そもそも周りに関心を向けていない人ということか。

視線をちょっとだけでも上げてみよう。
ずっと書類やPCを眺めていないで。
周囲360度、見渡してみよう。
誰が目に入る?
その人は、何をしている?
どんな表情?
その人は、どんなことを思いながら仕事をしている?
どんな気持ちで仕事をしている?
この人の得意なことは何だろう?
不得意なことは何だろう?
最近の嬉しいことは何だろう?
上手くいっていないことは何だろう?

そんなことを考えながら、
その人たちを眺める。
何も10分も20分もそうやって観察して、
と言っているわけじゃない。
30秒くらいでいいのだ。
一日のどこかの場面で30秒くらいだったら、
きっとできるはず。
続けていけば、その人のちょっとした変化や成長、
“いいな”と自分なりに思えるところ、
感じられるところが必ず発見できるはず。

組織には眠っているリソースが、あまりにもたくさんある。
そのリソースとは、
その組織で働く人たちの能力、知識、スキル、情報。
せっかくそうしたものがあるはずなのに、
人は新しい知識や情報を外に求めに行ってしまう。
なんともったいないことか!

リソースに生命を吹き込んで。
吹き込んで、使えるようにするのは、
あなたのささやかな承認の力。

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