9月19日から今日まで、下呂温泉に旅してきた。
二日目の宿で、
年配の女性の方と少し話をする機会があった。
その方もご主人と二人で旅行とのこと。
ご主人は75歳で、今年の3月に退職された。
退職されてから半年ほど経つが、
まるっきり意欲がなくなって、
毎日ぼーっと過ごすようになり、
平気でしていた車の運転ですら、
怖いといって、ハンドルが握れなくなったそうだ。
今まで何事もなく元気に働いてくれたことには感謝するが、
このままぼーっとされていては困るので、
今回連れ出して旅行に来たとおっしゃる。

ご主人の気持ちもわからないこともない。
聞いてみると、50代の頃から二人で海外旅行をかなりしていたそうだ。
それだけの余裕がある生活をされてきた方なのだから、
それなりの立場にあった方と推測される。
やるべき仕事があり、
立場があり、
役割があり、
他者との関わりを通して、
自己肯定感を感じられる場も多々あっただろう。
それが退職して、
一気になにもかもなくなったのだから、
呆けるような気持ちになるのもわかる。
やる気が一気に失われるのもわかる。

しかしなあ。
もったいない。
大きな病気もなく、無事平穏に毎日過ごせる。
そのような身体なのだから、
ぼーっとしているのは、もったいなくないか。
何よりも家族が心配してしまう。

残念なのは、本人にとってこうなるのは、
昔からわかっていたことだ。
いずれ退職するのは誰にでも平等にあることなのだから。
退職したときに、自分は何がしたいのか、
目指したいのか、どのように生きたいのかについて、
まだ働いていたときに、
もっと真剣に考えておけばよかったのだ。
多分、今こうなっているということは、
「退職してからのことは、その時に考えればいい」
と、現実を見なかったのだろうなぁ。
向き合ってきちんと考えることを
避けていたのだろうなぁ。

そういえば、あることを思い出した。
8年ほど前のことだ。
ある営業所の所長に同じことを感じたことがあった。
あと一年で定年退職なのだと話されるその方に、
「退職したら何がしたいですか?」
と訊いた。
「そんなこと、考えられるわけないだろう!
 今は部下をどう育てるかし考えられない。
 それに集中したいんだ!」
所長が感情的に反応されたことに驚いて、
何も言えなかった。
しかし、感情が高ぶったということは、
図星だったということだ。
現実から逃げている自分を、
指摘されたように思ったのかもしれない。
今の私だったら・・・?
退職後の生活を描くことの価値を諭していたかもしれない。
今まで得てきたキャリアをこれからの人生にもつなげていこう、
そんなことを相手にあわせて言葉を選び、
伝えていたかもしれない。

人生は一本道。
途中、休憩しても構わない。
しかし、迷いすぎていては不安になるばかり。
今の職場で働いてるだけが人生じゃない。
その後も続く道をしっかり自分の足で歩む。
自分のキャリアを自分でデザインしていく。
肩書をすべて失っても、
歩んでいけるだけの自分であること。
そういう人でありたいものだし、あってほしい。

さて、話は最初に戻る。
年配の女性の方と別れ間際。
「今回のことがきっかけになって、 
 以前のような元気なご主人になるといいですね」
ほんとうにそうよ! その方は笑顔になられた。
そのご夫婦は、今日は軽井沢に行って、
それから東京に戻り、東京から飛行機で戻るとのこと。
ご夫婦にとって、よき旅でありますように。

 どんな自分でありたい?
 これから何がしたい?
 キャリアを自分自身でどのようにデザインしていきたい?
 どんなものを手に入れたい?

自分にこれらを問いかけ続けよう。
答えを探し続けよう。
何をしたらいいのかわからないと、
呆然としてしまう自分にならないように。
自分らしく生き続けるために。

・・・・・・・・・・・・

◆コーチング「実践! リーダーシップトレーニング」のご案内
あなたらしいリーダーシップを見つけ、
発揮できるようになる、
3ヶ月間全9回のマンツーマントレーニングです。
部下やメンバーのやる気はどうしたら育つのか、
どうしたら目標達成に向けて行動がおきるのか、続くのか。
その答えが見つかる三ヶ月間になるでしょう。
コーチ、つけてみませんか?
詳細はこちらをどうぞ。