前回の続き、今度はKさんの話。
このエピソードは、
実は拙著『女性のためのリーダーシップ術』に登場している。
同じ内容になるが、また書こう。

後輩がKさんに報告していた時のこと。
Kさんは相当忙しかったのだろう。
もしくは後輩が職場で一番下ということもあり、
甘えていたのかもしれない。
報告する彼女を全く見ず、
視線はデスクの書類に向けたまま。
右手は印鑑を持ち、ひたすら検印。
しかも、彼女がまだ話しているというのに、
突然椅子から立ち上がり、隣の部屋に何かを確認しに行き、
また自分の席に戻り、再び書類に目を落とす・・・という有り様。
最後に二言三言、彼女に指示し、
慌ただしく出かけてしまった。

その後、聞いてしまったのだ。
「ちっ!」という彼女の舌打ちを!

「Aさん、大丈夫?」
「Kさんって、ああいう人なんですから仕方ないですよ」
感情を押し殺した言い方が、かえって恐かった。
相当はらわた煮えくり返っている・・・。

その日の夕方。(だったと思う)
職場は、たまたまKさんと私の二人っきり。
そこで、思い切ってKさんに伝えることにしたのだ。
さっきのことを。

「Kさん、相談したいことがあるんですが、いいですか?」
「ああ、いいよ」
仕事も落ち着いたのだろう。
機嫌がいい。

「Kさん、今日、AさんがKさんに報告した時に、
 全くAさんの話を聞いていなかったです。
 検印しながらだったし、話の途中で席を立って行ってしまったり・・・。
 Aさんの話をちゃんと聞いてくれませんか?」

Kさん、しばらく無言。
足をくんだまま、目をとじて、ぐっと考えている。
その目があいた時、彼は笑顔でこう言った。

「そうだな。福田さん(私の旧姓)の言うとおりだな。
 これからは気を付けるよ。
 言ってくれてありがとうな」

その言葉どおり、
彼はそれからというもの、
後輩のAさんの話をちゃんと聞いてくれるようになったのだ。

自分に非があると思ったときは、
素直に認める。
それを教えてくれた人に、感謝する。
そして、ちゃんと改善している自分を行動で見せる。

さすがKさんだ。
信頼できる上司と思った。
しかし、ふと思った。
いくらはっきりもの申す私でも、
相手が誰だろうが、あれこれ言えるわけではない。
じゃあ、なぜKさんには言えたのだろう。

振り返ってわかった。
そもそも、私はKさんを信頼していたからだ。
この人は言えばわかってくれる、と信じていたからこそ。
だから、リスクを感じても勇気をだして伝えられる。
事実、感情的にならずちゃんと聞いてくれる。
こうした信頼のループが活きているのだ。

誠実さって、そういうものだ。
それを理屈じゃなく、Kさんから学んだ。
上司が持つべきものは、誠実さであるということも。

数日たって、次長がそっと教えてくれた。
「福田さん、この前、Kさんに言ったらしいな。
 Kさんが『福田さんに怒られまして・・・』と
 言っていたぞ」
その目がいたずらっ子のように笑っていた。
いやいや、怒ってないってば。
まあ、それでもよろし。笑

・・・・・・・・・・・・・

コーチング「実践! リーダーシップトレーニング」のご案内
あなたらしいリーダーシップを見つけ、
発揮できるようになる、
3ヶ月間全9回のマンツーマントレーニングです。
部下やメンバーのやる気はどうしたら育つのか、
どうしたら目標達成に向けて行動がおきるのか、続くのか。
その答えが見つかる三ヶ月間になるでしょう。
コーチ、つけてみませんか?
詳細はこちらをどうぞ。