働いていれば、
部下に対して期待値が高くなる。

 「何もありません」ではなく、会議では発言してほしい
 「どうしたらいいですか?」ではなく、自分の意見も添えてほしい
 人の目ばかり気にするんじゃなくて、組織全体を見て動いてほしい

などなど。
期待は尽きることなく。

さて、Aさんもその状態。
彼は経営者だ。
たたきあげよろしく、
周囲から改善のフィードバックを聞きながら、
活かしながら、
自分の思考・行動スタイルを自ら変えつつ、
その地位まできた。
自分がそうやってできていりゃ、
部下に対しても
「自分だってできたんだから、あなただってできて当然」
になってしまう。

そんなAさんに質問した。

「Aさん、今、部下と一緒にやりとげたいことは何ですか?」

は? 
硬直するAさん。
しばし沈黙が流れる。
今まで思いもしなかった質問だろうが、
まさかここまでの反応になるとは思わなかった。

「わかりません」
それまでの勢いはどこへやら、
俯きながら、たどたどしく、
Aさんは答えられた。

どうしても上司と部下という関係性では、
上司から部下への一方向になってしまう。
それは上司の立場上、
指示を明確に伝え、
組織の成果をだすべく、
部下にその行動をとってもらうという役割なのだから、
一方向になって当然だ。

しかし、そのことにかんじがらめになってしまうと、
自分が期待する言動・行動をとらない部下が、
ストレスの元になってしまう。
それはあまりにも残念なことだ。

だから、いつもでなくていい。
時々、さっき私がした質問を
自分にしてみよう。

 私が部下と一緒にやりとげたいことは何だろう?

と。
「私」から「部下と上司という私たち」にシフトさせてくれる質問。
部下は自分の思い通りに動く人、という見方から、
ともに目標をやりとげていく仲間、という見方に変わるだろう。

「私」から「私たち」へ。
そうなった時に、
イライラ感も和らぐはずだ。
部下を等身大で見られるようになるはずだ。
部下の話しを聞く態度も変わるだろうし、
質問さえも今までと違った声かけになるだろう。
あれしてこれして、という指示一辺倒から、
「自分はこう考えているけど、どう思う?」
などのように。

さて、さきほどのAさんの件だ。
しばらくして、Aさんの部下と話す機会があった。
「最近、Aさんから話しかけてくれることが多くなったんですよ。
 会社に対しての考えも話してくれるので、
 自分を信頼してくれているのかなって思えるようになりました」
と言っていた。

二人の関係は、これからどう変わるだろう?
それをこれからも見守っていきたい。

部下と一緒にやりたいこと?
相手は部下でなくても構わない。
  
 その相手と一緒にやりとげたいことは何?

ストレスが高くなったなと感じた時は、
「私たち」にシフトしてみよう。
自由自在に、どうぞ。

・・・・・・・・・・・・

◆コーチング「実践! リーダーシップトレーニング」のご案内
あなたらしいリーダーシップを見つけ、
発揮できるようになる、
3ヶ月間全9回のマンツーマントレーニングです。
部下やメンバーのやる気はどうしたら育つのか、
どうしたら目標達成に向けて行動がおきるのか、続くのか。
その答えが見つかる三ヶ月間になるでしょう。
コーチ、つけてみませんか?
詳細はこちらをどうぞ。