「コーチングを学んで、どんないいことがありましたか?」

訊かれることがたびたびある。
ある方は目を輝かせながら、
またある方は半信半疑で。

私の場合は、
自分がいつも「正解」を持っていなくても大丈夫、
そう心から思えるようになれたことだ。
組織で働いていた時は、
誰から質問されても、「猪俣さんだったら知っている」という存在でなければ、
会社で生きのびられない、とまで思っていた。
知識面、技術面で「正解」を持っている人が信頼される人と思っていた。
そういう人が、一目おかれ、尊敬されると思っていた。

さて、この考え方でいくと、
自分と相手が「教える」「教えられる」関係の時は、とても上手くいく。
「この仕事で最初に確認するのは・・・」
「この書類は、全体の中でこういう位置づけがあって・・・」
「もしもわからないところがあったら、規則のここに照らし合わせて・・・」
「○○○○という言葉には○○○○○という意味があって・・・・」
「この箇所が間違っているよ。ここはね・・・」
相手は新しい仕事を覚える楽しさを十分に味わう。
私は私で、相手から「ありがとうございます!」と感謝され、気分がいい。

そう、相手が仕事に慣れるまでは、それでよかったのだ。
しかし、大方一人でなんでもできるようになり、
仮にミスしたとしても、自分一人でリカバリーできるようになった時、
はたと困った。

一体、何を話せばいいのだろう?

教える内容以外、話すことがこれといってないのだ。
しぃんとしたお互いの関係を埋めようと、
私が相手に伝える言葉は、業務の伝達と確認事項で埋め尽くされるようになった。
「あの案件はどこまで進んだの?」
「お客様に納期の確認したら、どうだった?」
「この写真は、ハイライトの部分が飛ばないようにして」
など。
やがて、若手社員は一人前になってしばらくすると、
転職するようになってしまった。
新しい仕事ができる環境を探して。

これではまずい!
一人前になった社員との関係づくりは、どうしたらいいのだろう?
どんな関係になったら、
社員とともによいチームをつくり、この会社を盛り上げていけるのだろう。
新しいコミュニケーションを学ぶ必要があった。
コーチングを学んだのは、こんな崖っぷちの背景があったのだ。

コーチングは、目標達成をサポートするコミュニケーションだ。
そのプロセスにおいては、相手が当事者意識が持てるように関わっていく。
アイディアも考える力も、実現に向けて行動する力も、
既に相手は備えている。
それらの力を相手が発揮したくなるように関わるのだから、
コーチという存在は、能力開発のプロともいえよう。
そういうことが、以前よりは少しできるようになったことで、
随分、気持ちが楽になった。

正解をいつも自分が持っていなくても構わない。
自分に答えがなければ、相手から教えてもらえばいい。
そして、よりよい答えを一緒に探していけばいい。

そういうスタンスになれた時に、視界が広がった。
知識や技術というがんじがらめの武装は、
次第に解けていった。

それからどうなったのか?
「猪俣さんと一緒にビジョンを叶えたい」
そんな嬉しいことを若手社員が言ってくれるようになった。
「猪俣さんはどうやって若手社員を活かしているの? 今度教えて」
お客様から訊かれるようになった。
「この会社はアットホームで働きやすそうですね」
取引業者の営業の方に言われたこともある。
そんな変化が起きた。

  私なりの答えもある。
  けれども、まず、あなたはどう思うのかを教えて。
  あなたの考えを大切にしながら、
  一緒に考えていこう。

私の意見や考えを伝えるのは、その後。
コーチングというコミュニケーションは、
学んで決して、損はなし。

・・・・・・・・・・・・・

コーチング「実践! リーダーシップトレーニング」のご案内
あなたらしいリーダーシップを見つけ、
発揮できるようになる、
3ヶ月間全9回のマンツーマントレーニングです。
部下やメンバーのやる気はどうしたら育つのか、
どうしたら目標達成に向けて行動がおきるのか、続くのか。
その答えが見つかる三ヶ月間になるでしょう。
コーチ、つけてみませんか?
詳細はこちらをどうぞ。