印刷会社で働いていた時のことです。
専門学校卒のTさんは御年22歳でありながら、
私のコミュニケーションのモデルでした。
「Tさん、ちょっといい?」と声をかけると、
必ず「はいっ」と軽やかな返事とともに、
くるっと姿勢をこちらに向けます。
これは本当に気持ちがいいですよね。
パソコンに向かっていようが、
机に向かっていようが、
自分がしていることを脇において
完全にこちらに注意を向けてくれます。
その姿勢からは
「ちゃんとあなたの話を聞く準備ができていますよ。
さあどうぞ話してください。」
という気持ちの表れにも感じられました。
そうなるとお互いに行き違い、
勘違いなんてものは起きなくなってきます。
加えて彼女の素晴らしいところは、
誰に対しても分け隔てなく公平にそうしているところでした。
「そんなふうに事ある毎に仕事を中断してたら
仕事なんか進まないでしょう?」
と言われそうですが、いえいえとんでもない。
彼女の正確丁寧な仕事ぶりは社内でも定評があり、
お客様からの覚えもめでたく
「Tさん、Tさん」とそれはそれは可愛がられていました。
で、私はどうかな? と振り返ったとき、
案の定、全くできていません。
「色校正お願いします。」
「○○様から電話です。」
「出力トラブルです。どうしたらいいですか?」
「この面付けはどうやるんですか?」
「お客様から写真の修整依頼がきてますが、どうしますか?」
このように、ひっきりなしに呼び止められること洪水の如し。
そうこうしているうちに
お客様のところに行かねばならない時間が
刻一刻と近づいてきます。
「予定していたことが全然できない!」と焦る気持ちから、
「これぐらいは自分で考えてやってほしいよなあ。」と
社員への不満が大きく膨らんでいきました。
「まあ、私がTさんみたいにできないのは、
立場が違うんだから仕方がない」
そう言い訳気分で自分にOKをだしていたある日、
衝撃的なことがおきてしまいました。
とうのTさんから、こんなことを言われてしまったのです。
「猪俣さんって忙しそうですよね。
なんだかいつもせわしなくて、
話をしながら途中で慌てて行っちゃうこともあるし、
なんだかあまりいい感じがしないです。」と。
さすがにそれを聞いて心が痛みました。
やっぱりそう見えていたんだな・・と。
自問自答が始まりました。
それでいいのか?
いや、いいはずがない。
私は社員のやる気を引き出せるような、
そんな存在でありたいと思っていたのに、
全然なっていない。
ならば、どうする?
やってみよう。
小さな一歩から。
そして、私がやり始めたのは・・。
(続く)
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