ストーリーテリングのスキルが、
  相手が心から納得し、
  自ら行動したくなるほどまでの効果がある、
  それはわかりました。
  しかし、私には人に話すほどの体験はありません。

そう言われることもある。
確かに、その気持ちもわかる。
しかし、相手に理解してもらいたいコンセプトや思いを
伝えるにいたったあなたの過去の体験は必ずある。
なぜなら、あなた自身も過去の体験から多くを学び、
今のあなたになっているからだ。
失敗を乗り越えたことや、
自分が変わったきっかけになったことや、
信条や動機になったことなど。
必ずあるそれらを探すのを軽くあきらめてはいけない。

拙著『女性のためのリーダーシップ術』(幻冬舎)は、
ストーリーテリングの手法を使って書いたもの。
「相手の話をじっくり聞くことが大切です」
なんてことは誰でもわかっている。
なぜそれが大切なのかを、
私の体験を根拠として書いたものだ。
さて、その執筆も大詰めを迎えたある場面では、
なかなか体験が思い浮かばない時があった。
具体的に言えば216頁。
「人の健やかな成長、その陰にモデルあり」の目次のところ。
会社員だった頃の後輩が、
自身が目指すモデルができたことによって、
見違えるように仕事への情熱が注げるようになって、
やがて新人たちから憧れの先輩と見られるくらいにまでなった、
という事例。

それを目の当たりにして、
目指すモデルがいることの効用はわかっているものの、
私自身の体験もなければ、
文章で訴求するうえで、
読んでくださる方にインパクトが少ないと思った。
書き手の私の実感が伴った体験・・・。
何かないか・・・。
それまでなかなか上達しなかったものが、
既に上手くやっている誰かを見て、
それをなぞらえるように、
自分もできるようになったことが。

考えに考えた。
一日、二日、三日。
時間ばかり過ぎる。
三日目の夜。
布団にもぐっても、脳の中は過去の体験を探す旅。
「あっ!」ひらめいた。
そういえば、ピアノ!
そうだ、ピアノの体験。
小学生の頃、ピアノをならっていたが、
まったく身が入らなかった。
いやいやながら習っていた。
教室で一番上手な生徒は、同級生。
その時に私が四苦八苦しながら習っていた作品を
彼女が弾くのをたまたま聞くことがあった。
「ああ、私も彼女のように弾きたい!」
きっかけはこれだ。
詳細は、拙著の216頁に書いたとおりだが、
あれがきっかけで、私はピアノが好きになったのだ。
先生からも少しは目をかけられるくらいにまでなったのだ。
あった!
私にもそのような体験が。

ああ、探せばあるものだな。
私が学んだのはそれだ。
自分には大した体験などない。
「ない」と言って終わりにするのはすぐできる。
しかし、本当にそうだろうか。
考えて、考えて、考えつくす。
きっとあると信じて、
探して、探して、探す。

結論をだすのは、それからでも遅くない。

人に話すほどの体験?
あなたに必ずある。
それを信じて。

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