強み探究月間。
ちょうど折り返しの時期だ。
今日は、「強み」について、
次のコラムを紹介しよう。
実は、読んで私は“目からうろこ”だった!
Biz Coach Magazine(2010年7月17日発行)から。
株式会社コーチエィの以前発行されていたメルマガだ。
タイトルは、「強みをリンクさせる」。
書かれたのは、ビジネスコーチの吉田忍さん。
ビジネスの現場で、
部下の強みを問題解決にどう活かすのかが、
とにかくわかる! そんな内容。
今までとっていた資料だけど、おすそ分け。
皆さんの参考になりますように。
・・・・・・・・・・・
ハウスメーカーで設計士10人のリーダーをしているSさんは、
部下のTさんの指導について長らく悩んでいました。
Tさんの仕事は、住宅の設計士。
お客様と、具体的な間取りや家の詳細を決める仕事です。
「T君は、真面目なんですが、職場でも口数が少ないですし、
人前で話すのが苦手なんですよ。」
「設計士には、お客さんの話を聞き、こちらの意図を明確に伝えるという
コミュニケーション能力がとても必要な仕事なんです。」
「何度も、コミュニケーションのとり方を改善するように
伝えているのですが一向に改善の兆しがないんです。」
もし、あなたがSさんだったら、どのような手法をとるでしょうか?
ある管理職むけプログラムの参加者にも聞いてみました。
すると、ほとんどの方が
「強みを活かすんですよね。それはわかっているんですよ。」
とおっしゃいます。
実際に『部下の強みを活かす』をテーマにした本は多数出ていますし、
その有効性については皆さんも十分理解をされているのだと思います。
ただ、ある調査会社によると、
「最も得意な仕事をする機会に毎日恵まれている」
と答えたのは僅か20%だそうです。
つまり、わかってはいるが実践できない。
それはなぜでしょうか?
1つは、上司から部下への指導プロセスが要因として考えられます。
例えば、お客様や他部署からクレームされた場合、
部下への指導プロセスは次のようになる傾向があります。
1.クレームがくる。
2.その原因を調べる。
3.部下の足りない要素が見えてくる。
4.それを改善するように伝える。
部下にしてみれば、自分が苦手なことを言われているわけですから、
行動も促進されず、結局やらずに終わってしまう。
そうすると、また指摘される。
という悪循環に陥ってしまいます。
では、このスパイラルから抜け出し、部下の行動を促進させるためには
どのように『強みを活かす』のでしょうか?
今まで私がお会いしてきた、部下の『強みを活かす』のが
得意なリーダーには、共通点があります。
それは、『強みをリンクさせる』のがうまいということです。
・真面目
・人はいい
・計画性がある
といった部下の強みを知っているだけでなく、
どんな小さなことでも、部下の強みを日々の問題解決にリンクさせて
部下の行動を促進させます。
これを先ほどの部下への指導プロセスに当てはめると
1.クレームがくる。
2.その原因を調べる。
ここまでは一緒です。
その次のプロセスが違います。
3.部下の得意な要素を使ってどのように解決できるかを考える。
4.部下と話をして、解決策を一緒に決める。
となります。
つまり、クレームなどの場面を『強みをリンクさせる』ための
チャンスに変えてしまうのです。
私のコーチングの中でも、このリンクの作業を
忘れていらっしゃる方が多いように思います。
さて、話はSさんに戻ります。
この『強みをリンクさせる』話をSさんに伝えた後
Tさんについてさらに話を進めました。
「もしTさんの得意な部分で、この問題を解決するとしたら
どんな方法がとれるでしょうか?」
「彼は・・絵を描いたり、何かを作るのが得意ですね。」
「おそらくデザインすることが好きなんだと思います。
自分でオリジナルの筆箱を作ったりもしてますから・・」
更に質問は続きます。
「それって、今回の問題にどのように活かせそうですか?」
「そうですねぇ・・・」
しばらく考え、言葉を選ぶようにSさんが話し出しました。
「お客様との打ち合わせで、間取りのイメージを
明確にもってもらうために内観パースを描いたり、
住宅模型を作ることができるかもしれません・・・
これは、彼のコミュニケーション能力を補強するために使えそうですね。」
「なるほどね。早速T君に話してみますよ」
そういって、セッションが終わりました。
2週間後、Sさんから
「早速T君が行動を始めましたよ!」
とご報告をいただきました。
Sさんは、あの後Tさんを呼んで
「効率よく説明できるだけがコミュニケーション能力じゃない。
自分の得意な、内観パースや住宅模型をつくって、お客さんに
説明してみたらどうだ?一緒にT君のスタイルをつくろう!」
と伝え、二人で考えたそうです。
そうすると、今まで、アドバイスに耳をかさなかったTさんが
翌日からお客様の打ち合わせ用に内観パースを描き、
小さな住宅模型を作り始めました。
自分で描いたパースや模型ですから、お客様への説明にも熱が入ります。
結局、Tさんは、パースや模型というツールを使いながら
Tさんスタイルのコミュニケーション能力を少しずつ高めていったそうです。
Sさんがセッションの中でおっしゃっていました。
「今まで、コミュニケーション能力を高めろ。高めろ。
いってきたのは何だったんでしょうか?」
「これからは、メンバーのスタイルを尊重して、
最強のチームを作っていきたいです。」
Sさんは、Tさんがもっている強みと、組織の目標をリンクさせることで
Tさんの能力を引き出し、最強のチーム作りへの一歩を踏み出しました。
さぁ、あなたは、部下の強みをどのようにリンクさせますか?