『マッキンゼー流入社一年目 ロジカルシンキングの教科書』(大嶋祥誉 著/SB Creative)に、次の寓話が紹介されていた。
出典は、ジョエル・バーカー『パラダイムの魔力』。
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ある晴れた土曜日の朝、男はいつものようにポルシェを飛ばしていた。見通しのきかないカーブが近づくと、スピードを落とし、ギアを切り換え、200メートルほど先の急カーブに備え、ブレーキに足をおいた。そのとき、カーブの陰から車が一台、ハンドルを斬り損ねたうに飛び出してきた。崖から落ちると思った瞬間、道路すれすれに弧を描き、勢い余って反対車線に入り、あわててハンドルを切りなおしたかと思うと、また反対車線に入ってくる。
なんてことだ。男は急ブレーキを踏んだ。
車は蛇行しながら接近してくる。ぶつかると思った直前、対向車は左にそれ、すれちがいざま、きれいな女性が窓から顔を突き出し、あらん限りの声で叫んだ。
「ブタ!」
ふざけるな。男はカッとなって、怒鳴り返した。
「ブス!」
「めちゃくちゃな運転をしているのは、どっちなんだ」。しかし、怒鳴り返して、少しは胸がすっとした。ああいう女には、ひとこと言ってやったほうがいい。
そして、アクセルを踏み、急カーブを曲がった途端・・・、ブタに衝突した。
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実はクルマの女性は、その先にブタの群れがいるということを男性に知らせたくて「ブタ」と言ったのだ。
しかし、男性は攻撃的に侮辱されたと受け取ってしまった。
思い込みか・・・。
いやはや、この寓話、笑えない。
自分にもあるな・・・と思った。
そう思った矢先、電車の中でこんなことがあった。
隣に立っていたのは、70代ほどの男性。
目の前に席に座る若者の膝がぶつかるのが気になったのだろう、
傘で若者の膝をつついた。
はっとして、膝をすくめる若者。
なんだかなあ。
傘でつつくなんて感じが悪い。
ちゃんとお願いすればいいじゃないか。
「もう少し膝をひいてもらえますか?」と。
しかし、この寓話を活かすべく、
少しだけ考えてみた。
「本当はどうなんだろう?」と。
今のはすべて私の解釈だ。
その解釈は、どこまで本当なのだろうか?と。
事実はわからない。
しかし、もしかしたら、
その70代の男性は、
言葉がでない状態の人だったら?
声が上手くだせない状態の人だったら?
かもしれないし、そうでないかもしれない。
人は思いこみをしながら、人生を生き延びる。
思い込みをすることで、
次にどんな対応をすべきか、
いちはやく考え行動できる。
だからこそ、
今、自分はどんな思い込みをしているかと、
折に触れ振り返ることは、
新鮮な気づきをもたらすきっかけになる。
職場の人間関係は、逃げ場がない。
大方、ずーっと同じ人と一緒にいる。
特定の人への不満や苦手意識は、疲れのもと。
本当はどうなんだろう?
今、私はどんな思い込みをしている?
それは自分を楽にしてくれる、
問いだと私は思う。
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