自分で決めることが大切とはわかっているけど、なかなか「決められない」ことってありますよね。
その渦中にいる時は、結構苦しい。
なかなか答が出ない時は、いっそのこと、「誰かが決めてよ!」と投げ出したくなってしまいます。
それでも、「自分自身で最良の決断ができたと実感できる」ことって、すごく大切です。
そういう心境になれるほど、「この人生、自分でちゃんと握っている」という自己効力感も高くなりますし。
人の「やる気」なんて、そこが源泉になっているようなものです。

さて、この決断とやらで珍しく迷った体験とそこから学んだことを今日は書きます。

四年前に車を購入した時の体験です。
何の車を買うかは全く迷いがありませんでした。
悩みどころは、車のカラーだったのです。
初めは、「青」がいいかなと漠然と思っていました。
しかし、車を買うなど私にとっては一生に一度くらいの大きなこと。
契約が進むにつれ、「本当に青でいいの?」と、ぐらぐらと気持ちが揺れ始めました。
こういう時には、周囲の方の意見が参考になります。

販売店の営業の方曰く、「お仕事で使うのであれば、白がいいと思います。猪俣さんには、青や黒のイメージはあまりないように思います。あくまでも私の印象ですが」
なるほど。
夫はこうでした。
「赤にすれば。今まで乗ったことがないし」
ふうむ。
今まで持っていなかったものを選ぶというのも納得でした。
ある友人曰く「たまたま在庫にあった色を選んだら、黄緑色になった」と。
そういう選び方もあるのかと新鮮に感じました。

道を往来する車を眺めては、「白もいい、赤もいい、青もいい・・・」。
さらに迷いのループに入ります。
「やっぱり、この色にしよう」と一旦すっきりと決めるものの、翌日になるとまた気が変わり・・・。
とうとう購入申し込み期限のその日になって、初志貫徹よろしく、直感で最初にいいと思った色「青」にえいやっと決めました。

もともと私は、物事を決めるときは迷わないタイプです。
その場で瞬時に決められるほうという自負があります。
しかし、こうしてあらためて「決める」ことに迷った経験をしたことによって、はたと気づいたことがありました。

それは、「あの人が言うようにすればいいか」と他者の意見に流されることなく、「私はどうしたいのか」と自分の心の声を尊重しながら、自分で答えをだすということは、こんなにも清々しい気分になるのか、ということでした。
しかも自分で決めたことですから、この車を十分大切にしようという意欲さえ湧いてきました。

「やる気」というのは、「やる気をだして」と他者から言われて持てるものではありません。
このように「迷って、考えた末に、自分で決めた答え」に対しては「やる気」が自ずとわいてきます。
さらに、この体験から「相手がだした答えを尊重することが、やる気を生み出す」ことにつながると実感しました。

営業の方が「えっ、青ですか? 私はやっぱり白がいいと思いますよ」とか、夫が「青なんてやめたほうがいいんじゃいな?」と、ああだこうだと言うことは一切ありませんでした。
だからこそ、自分で出した答えに責任を持とう、というところまで一瞬にして辿り着けたのだと思います。

ふと思いました。
仕事をしている時の自分は果たしてどうだろうかと。
「あなたに任せるから」と口にしながら、相手が「こうしようと思います」と出した答えをどれくらい尊重していただろうかと。
「それも悪くないけど、やっぱりこっちのほうがいいんじゃない?」と、結局、自分の思う方向にもっていっていたように思います。
もちろんそれが悪いわけではりません。
相手が出した答えを判断するのが上司の役割ですから。

ただ、いつもいつもそうなのではなく、相手が考えた末に出した最終的な決断なら、それを尊重し、相手がその結果に責任が持てるように見守っていくこと。
もしも相手が自分のだした答えに後悔する素振りを見せたら・・・。
「この経験から学んだことは何?」
「同じような決断をする時には、今度はどのようにして決める?」
と思考を深める材料にしましょう。

答をだすまでのプロセスと、相手がだした答えを尊重する。
なかなか根気のいることです。
しかし、そう関わってくれる上司を前に、部下は必ず自ずと最大限のやる気を職場で発揮し、自ら成長していくのだと思います。

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◆今日の問い
「決める、決められない。加えて第三の選択肢があるとしたら何ですか?」
そもそも選ぶとは、二者択一からではなく、選択肢が三つ以上あって初めて人は選ぶことができると言われています。
断る、断らない・辞める、辞めない・やる、やらない・・・。
二者択一がいざなう迷いのループよ、さようなら!
どうですか?
日頃のあなたは、三つ以上の選択肢で生きていますか?

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