「猪俣さんは、どうやってコーチングをスキルアップしてきましたか?」

よく訊かれる。
「えーと、どうやってかな・・・」
別にノウハウを秘密にしているわけじゃない。
本当に「えーと、どうやってかな・・・」なのだ。
自分じゃ、よく意識していないのか。
そもそも、スキルアップできているのか。
いや、それはまずいでしょ。
コーチングでお金をいただいているのだから、
そんなの言えない。

それにだ。
これからコーチとして生業を立てていきたい、と
夢を持っている人たちに、
こういう話を聞かせることも、
今既にそういう仕事をしている人の務めじゃないか。

それで、自分のコーチとのセッションでそれをテーマにした。
「私は、どうやってコーチングのスキルアップをはかってきたのか?」
うーん、うーん、唸る。
考えてもなかなか答えが見えない自分に
つまらなさや情けなさを感じてきた。
その時だ。コーチのWさんが、軽やかに言われる。

「私は言えますよ。
 猪俣さんがどうやってスキルアップをはかってきたのか」
「え? Wさんは言えるの?」
「ええ、言えますよ」

その時の私の気持ち、想像できるだろうか?
とにかく嬉しかったのだ。
Wさんがそう確信をもって言ってくれることも嬉しかったが、
Wさんから、なんて尊重されて見てもらってるのだろう、と。
毎回毎回のセッションで私が話すことを大切に聞き取ってくれて、
なんてかけがえのない存在として私を見てくれているのだろう、と。

自己重要感という言葉がある。
自分が自分にとって特別な人間である、
人間として大切にされているということを実感し、
「私という存在は、私にとって一番重要なものなのだ」と思えること。

まさに、そんな感覚が一瞬で満たされたのである。

Wさんが言えるということは、
既に私はやっているということだ。
コーチングをスキルアップするためのことを。
それを見つけようと思った。
考えようと思った。
そして、出てきたのだ。自分なりの答えが。

そうだ、コーチトレーニングのマニュアルを全部読み直しましたね。
大切なところを書き写したり、
効果的な質問リストを作ったりしていましたね。
クライアントさんとのコーチングの振り返りをよくしていましたよね。
何をどう改善したら、より上手くいくのか、
上手くいかなかった要因は何だったのか、
コーチとしての在り方やアプローチもよく振り返りをしていましたね。
Wさんとのセッションでも、
私がコーチ役になって、コーチングの練習をしていましたね。
クライアントさんからのフィードバックを真面目に受けとっていましたよね。

ああ、出てきた。自分なりの答えが。

より一層晴れやかな気持ちになった。
きっかけは、Wさんの「言えますよ、私は」の軽やかな一言。
その背景にある、私への「尊重と敬意」の気持ち。

人は本当に人との関わりで、
自信というのはどうにもなるものだな、と実感。
よしできると自信が芽生えるし、
反対に、なんて自分でだめなんだろう、と自信を失ったり。

相手が忘れてしまっている、相手の良さを教えてあげる。
そんな優しい人に、私もなりたいものだ。

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