(前回からの続きです)

「ねえ、Aさんは、将来、個人の問題解決のお手伝いをじっくしたいって言っていたよね。小さくても自分の事務所を持ちたいって。その未来により近づけるほうってどっちなんだろう?」

「あー、なるほどー」
Aさんは、うつむいて考え込みました。
引き続き、二枚の求人票をちらちらとせわしく見比べています。

「それだったら、こっちですね」

勢いよく手に取った求人票は、「ハードルが高い」と指していた会社のほうでした。
えっ、そっちを選ぶの!
予想だにしていなかった結果に驚きました。
理由を聞いてみると、なんでも面接を担当された女性の方が、Aさんにとってまさにモデルになる人だったとか。
この人のアシスタントになって仕事をすると、たくさんのことを吸収できるから・・・とのことでした。

そういえば、この一時間の面談中、Aさんの視線がちらちらと「ハードルが高い」ほうの求人票にいっていたのも、つじつまがあいます。
そもそも、気になっていたんですね。
もっと早い段階で、Aさんがちらちらとそっちの求人票に視線が流れることをフィードバックしていたら、結論はもっと早くでていたかもしれません。

それにしても、やはり答えはその人の内側にあるんだなあと、しみじみ実感しました。
大げさかもしれませんが、そのことを目の当たりにして感動しました。

「視点があまりにも『今のこと』に向きすぎていて、偏っていました。今は考えが広くなった感じがします。整理がつきました」
そう言ってAさんは笑顔で帰っていかれました。

ビジョンの効用、ここでも発見。
生きるとは決断することの連続です。
どちらを選ぶかを迷ったとき、決定打になるヒント、それも大きなヒントは本人のビジョンに存在します。
ビジョンは人生の羅針盤的。
もしかしたら、Aさんの決断はあとで変わるかもしれません。
それでもいいのです。
今、自分で考えて自分で決められた、という体験を持てることが何よりもいいのですから。
選んだ先がどうなろうが、自分が責任と自信をもってだした答え故、上手くいかなければ、すっとやり直しもできるようになるはずです。

あなたの部下は、どんな将来像を浮かべているでしょう?
どんなビジョンを語ってくれるでしょう?
そのビジョンにどんな選択と決断をすると、近づけそうなのか。
選択に迷ったら、ビジョンをつかえ!ですね。

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