営業マネジャーの友人Sさんが、部下についてぼやいていた。
「全く気が利かない!」
どういうところが? と訊いてみると、
「本当に初歩的なところなんだよ。
 お客様への資料の渡し方とか、言葉遣いとか」
なるほど、マナー全般、というところだろうか。
営業? マナー?
話がそれるが、夫の新人時代のエピソードがよぎった。
革鞄ではなく、紙の手提げ袋で顧客訪問をし、上司に叱責され、
靴が汚れていると、また上司に叱責され、
「喜寿」を「亀寿」と書いて、いよいよもって上司に叱責され、
挙句のはてに、「秘書検定でも受けろ!」と、
見放されそうになったことがあったとか。
ちゃんとマナー研修は受けたと思うのだが。
男性は、そういうところがあるのだろうか?

話を戻そう。
それで、Sさんは部下にどうしているのかというと、
「それじゃ、だめだろう」
「こうやるんだよ」
といちいち教えているそうだ。
「なんでこんなこともできないんだ!」
と呆れ果てている。
彼は、お客様をそれはそれは大切にするタイプ。
お客様の期待や要望に応えるべく、
きちんと勉強もするし、準備もするし、
相手に敬意を払うという意味では、
マナーも本当にたけている人だ。
大切にしているお客様に対して、
部下がしている行動、言動、
そのひとつひとつが気になるのはよくわかる。

彼に訊いてみた。
「で、その部下はどんな営業を目指しているの?
 どんな営業担当者になりたいと思っているの?」
「え?! さあ、どうなんだろう?」
「部下が目指しているものがわかれば、
 そこに向けてフィードバックもできるし、
 指導もできるんじゃないの?
 仮に『お客様から信頼される営業担当者になりたい』、
 というものだったとするじゃない。」
「ああ、うん」
「もちろん、もっと具体的にする必要があるよ。
 『お客様から信頼される営業担当者』がどういう人なのかを。
 例えば、約束の時間を守る、聞き上手な態度で聞ける、
 お客様の真意まで聞きとれる、
 いわゆるビジネスマナーと言われているものがきちんと備わっている、とかね」
「なるほど」
「それがお互いに共有できれば、あなただって注意や指導しやすくなるんじゃない?
 部下も自分ごととしてもっと聞けるようになると思うよ。
 Sさんは自分のためにそう言ってくれているんだって思えるようにもなるんじゃない?」
「うーん、そうか。相手が何を目指しているか、だな」

その通り。
相手が何を目指しているか。
それがお互いに共有できていれば、
その時から、自分は相手の目標達成をサポートする人、
という存在だ。
それができていないと、
あれこれと口うるさい上司、という存在になってしまう。

相手に「こうなってほしいのに」とぼやきが起きる時は、
もっとよりよい状況にしていきたい、という前向きな気持ちがあるからこそ。
だからこそ、そんな心のつぶやきが起きたときは、
相手のことを考えてみよう。
この人は何を考え、どんな気持ちなのか、と。
そして、どうなりたいと思っているのだろうか、と。

Sさんのその後?
さて、どうなっただろう?
今度会ったときに、続きの物語を聞いてみよう。
きっと、いいことが起きているはず。

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