昨日、ドラマ『陸王』を見ていたら、
はっとする言葉があった。

  それは確かに無駄かもしれない。
  でも、無意味じゃない。

  値段がつけられないものに価値がある

原作は池井戸潤氏。
原作にこの言葉があるかどうかはまだ最初の数ページしか読んでいないので、
わからない。
しかし、この言葉にとても共感した。

働き方改革。
生産性の向上。
ムダ、ムラ、ムリの排除。
すべて効率よく。

これらはもちろん大切なことだ。
しかし、生産性向上の旗振りのもと、
ほんとうに無駄なものだけでなく、
実は豊かな価値あるものを切り捨てていることはないだろうか。

昔、私が人事で研修の仕事をしていたときのことだ。
研修では最初に必ずオリエンテーションをする。
研修の目的、目標、会場の案内、研修中の過ごし方、ルールについて
10分間ほどの時間をとって伝える時間だ。
当時から残業時間削減は言われており、
何を削減するか、短縮するかを検討していた時のこと。
上司がこのようなことを言った。
「オリエンテーションをなくしてもいいんじゃないか。
 同じことを話しているのだから、
 録画してそれを毎回流したらいいだろう」
なるほど、と思った。
そのアイディアも一案と思った。
しかし・・・だ。
本当にそれでいいのか。
確かに、話していることは、毎回同じことの繰り返しだ。
しかし、それを「人」が伝えていることによって、
これから研修を受講する人たちの心の準備が温まることもあるのではないか。
機械とのやりとは、一方向。
しかし、人とのやりとりは、もちろん双方向なわけで、
オリエンテーションといえども、
その場で質問などのやりとりが生まれる可能性がある時間のほうが、
研修マインドのセットアップによりつながるのではないか。
結局、上司のその案は採用にいたらなかった。

「これはやらなくてもいい」「これはなくしてもいい」と、
すぐに結論をだして終わりにすることに危惧を感じる。
それよりも、この時間で実現したい効果や結果は何か。
そこに向けて、より力を配分したほうがいいものは何か、
やめたほうがいいものは何か、
ITなどに代えたほうがいいものは何か、
そのように考えていったほうが、
本当の意味での生産性向上につながる。

そうやって時間をかけて検証していくと、
それは無駄ではなく、無駄に見えるものだということに気づく。
決して無意味ではない、ということがクリアになってくる。
お金だけを価値の尺度にするのではなく、
値段がつけられないものにも、価値がある。
そんな捉え方をすることによって、
形にはないけれども、
かけがえのないリソースが
実はすぐそこにあることにも気づける。

そんな視点をもって、
今日一日を過ごしてみてはいかがだろうか。

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