人というのは、
本当に相手の反応に影響を受けるものだ。
常日頃、自分がどのように周囲から見えて、
どのような雰囲気を醸し出しているかを意識することこそ、
リーダーとして最も重要なことと思う。

よく言われるが、
外で道を尋ねられることがあるか否かというのは
周囲からどのように自分が見られているかを測る物差しの一つになる。
私にしたって、
誰かに道を尋ねたい時には、
瞬時にその人を「みる」。
親切に教えてくれそうな人を選ぶ。
不機嫌な表情をしている人や、
短気そうな雰囲気の人、
イライラしていそうな人に間違っても声をかけない。

今までに道を尋ねられたことがあれば、
恐らく自分は「頼れそう」、「知っていそう」と感じられた証。
全くの初対面であるにも関わらず、
声をかけられるということは、
周囲から「安心感」を感じ「安全な人」と感じられたことだ。

ところで、先日の研修でこのようなことがあった。
それは管理職対象のコーチング研修。
相手の「聴き方が変わると、話しやすさがどれくらい変わるか」
というエクササイズを行った。
一回目は、徹底的に相手を無視するという聞き方。
二回目は、反対に徹底的に聴き上手になって聞くという聞き方。
聞き上手な聞き方というのは、
話し手のほうを見る、相づちを打つ、頷く、
話し手の話す内容にあわせて表情豊かに聴く、というものだ。
無視する聞き方は、正反対。
説明するまでもないだろう。

さて、このエクササイズが終わったあとの、
話し手役だったときの感想がなかなか興味深かった。

一回目の時は?
反応のない相手の態度を見て、
話す話題を変えようと思った、
どうしたら興味をもってくれるかと気を遣った。
話す気がなくなった、という感想。
結果、話すのをやめた。

二回目の時?
相手が相づちを打ったり、頷いてくれるので、
話してもいいんだと思えた。
笑ってくれるのを見て、もっと話したくなった。
結果、自分のペースで話し続けた。

それぞれのエクササイズの時間は、
たかだか30秒だ。
そんなわずかな時間ながら、
人というのは、相手の反応を見て、
即座に自分がこの人にどう対応するかを
選んでいることになる。

自分は一体どのような人に見られているだろう。
声をかけやすい雰囲気なのか、
かけずらい雰囲気なのか、
話しやすい雰囲気なのか、
話しずらい雰囲気なのか。
まずはそこが最も重要ではないか。

相手からつながりたいと思える自分でなければ、
職場の中で、気づけばいつも自分一人だった、
なんて寂しいことにもなりかねない。

リーダーとしてどうある云々の理論は、
それからの話ではなかろうか。