こんにちは。storyIの猪俣恭子です。

今回は、前回に引き続き、部下が有言実行の人であるために、あなたができることについてお届けします。
前回はその一つめのポイント「具体的に」をお伝えしました。

続いてのポイントは、「小さなステップ」にすることです。

『脳が教える! 一つの習慣』(ロバート・マウラー著/講談社)には、興深いことが記されています。

人の脳は、やろうとしていることが本人にとって大きいと感じると「変わらなければならない」「できなかったらどうしよう」と「変化することへの怖れや不安」が起こり、行動できなくなるそうです。

例えば「3か月後のフルマラソン初挑戦に向けて、毎日必ず5㎞、ランニングを続ける」と決めたとします。

このような急激な変化を起こそうとすると、脳の特定部位が恐怖を感じ、行動しないように働きかけるそうです。

結果として、『何もできなかった』ということが起こります。

だから、行動は非常に小さなステップに落としましょう。

「毎日一分だけ、テレビの前で足踏みする」ぐらいの。

変化が起きているのかいないのか、脳がわからないぐらいの小さなステップにしてしまう。
すると「恐怖」はおきず、行動がおこり、新しい習慣が定着し…さらに、新しい行動を本人自ら生みだします。

「頑張ります」
「気をつけます」
「前向きにやります」
「期限を守ります」

部下の威勢の良い意志表示にだまされないように。

そういうときほど要注意です。

あいまいな言葉を耳にしたら、そこで立ち止まりましょう。

誰かが具体的な行動を自ら引き出せるような質問をしてください。
どうしてそのような質問をするのか、理由も添えて。

「行動が具体的になればなるほど、小さなステップで表現されていればいるほど、あなたは軽やかに行動できるようになるから。そのための質問をしてもいい?」のように。

あなたが質問する理由がわかれば、自分のことを思ってしてくれているのだと部下は納得し、安心します。
落ち着いて考えられるようになります。

「頑張るって、何をすること?」
「気をつけるって、何をどのように?」
「前向きって、どんな行動をとると『前向きになった』ってわかるの?」
「期限を守るために、することは何?」

とはいえ、部下は考え慣れていません。
即答できない場合が多いでしょう。

そういうときは

「今すぐ答えが出なくても大丈夫。じっくり考えて。
明日の朝、また聞くからね」

など、次回に話をする機会をもうけ、継続してフォローしてあげてください。

会話は、いつもその場で完了しなくても構いません。
毎日、3分でも5分でも。

それくらいの短い会話でも、続けることに価値がありますから。