こんにちは。storyIの猪俣恭子です。
今回は、「『この人はこういう人だ』と知ったつもりにならない」ことで人との関係が随分と楽になるということをお伝えします。
「長く一緒にいるほど、相手のことを知ったつもりになっちゃうのよね」
友人のその言葉が気になり、なにげに夫に聞いてみたことがありました。
私「何色が好き?」
夫「緑」
これは結婚前から変わりません。
私「歴史上の人物で好きな人って誰?」
夫「上杉謙信」
私「えっ! 昔は徳川家康だったじゃない。変わったの?」
夫「徳川家康は嫌いになった。今は上杉謙信」
確か以前は、徳川家康を扱ったドラマがあれば食い入るように見入っていたのに、それが嫌いになるほど変わったとは・・・。
人って過去がこうだったから、今も変わらずこうだ、というものではないようです。
当たり前のことですが、つい私たちは忘れがちです。
同じようなことは職場でもよくあります。
会社員だった頃です。
若手社員のBさんは異動してきたばかりで、初めての仕事に四苦八苦していました。
ミスが何回か続き、これではいけないとBさんと一緒に仕事の段取りを確認しながら今後の対策を測りました。
沈みがちだったBさんも次第に落ち着いてきて、最後は「話を聞いてくださってありがとうございました」と表情も晴れやかに、やる気を取り戻してくれました。
それから一週間。
以前のようなケアレスミスはなくなり、お互いに「手ごたえ」を感じていた矢先のことです。
営業の外回りから戻った上司が鞄を置くやいなや、
「Bさん、この書類は大切だから、お願いだから間違わないで。注意力が散漫なところがあるからなあ。頼むよ」
と言いながら、お客さまからいただいた書類をBさんに渡したのです。
Bさんはといえば、口をぎゅっと一文字にし、眉間にたて皺、身体全体をこわばらせ、怒りを抑えている様子が手にとるように感じられました。
それから数年後、たまにBさんと会う機会があり、このときのことを思い切って聞いてみました。
「あれは本当に悔しかったですよ。決めつけられて。
あの人も悪い人じゃないですけど、ああいう言い方はないですよね。
やる気がなくなりました。だから、私は絶対部下にああいうことはしませんね」
人の脳は「白」か「黒」かで判断する傾向があります。
例えば
「明るい人か、暗い人か」
「仕事はできるか、できないか」
「きちんとしているか、だらしないか」
など実に多くのレッテルを次から次へと貼っていきます。
これは決して悪いことではありません。
そうすることで
「じゃあ、この人にはこんなふうに関わっていこかうな」
と、その人にあった対応を前もって予測できますから。
問題は、一度「こうだ」と思って貼ったレッテルは、なかなか剝せなくなるということなのです。
この人は
「気が利かない」
「話をよく聞かない」
「仕事をお願いすれば何かと不平不満を言う」
「落ち着きがなくて、よくミスをする」
「神経質で心配症だ」
「昇格に興味がない」
「長く勤める気はない」
・・・など。
しかし、人は、今この瞬間瞬間に変っていく可能性があります。
物事の捉え方、価値観、信条、将来したいことなど、いつもはっきり決まっているわけではなく、ゆらゆらと揺らいでいるほうが真実ではないでしょうか。
確かに以前は緑色が好きだった。
今もそうかもしれないし、違う色が好きになっているかもしれない。
確かに以前は徳川家康が好きだった。
今もそうかもしれないし、違う人を好きになっているかもしれない。
さきほどのBさんだったら、確かに以前はケアレスミスが多かった。
今もそうかもしれないし、改善されているかもしれないなどのように。
人はいつでもリニューアル。
そんなスタンスでいるようになったら、部下からこんなことを言われたことがありました。
「猪俣さんはありのままの私を見ていてくれている感じがするから、本当のことを話しやすい。一緒にいてリラックスできる」と。
以前は「猪俣さんには、いつもちゃんとした答えを言わなくっちゃって緊張感を感じる」と言われていたのに。
部下にしてみたら「自分がいつでも変われることの可能性にOKをだしてもらっている」ように感じたのかもしれません。
あなたも取り入れてみませんか?
このスタンスを。
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