こんにちは。storyIの猪俣恭子です。
人は誰しも周りから必要とされ、集団の中で価値ある存在だと認められたいという欲求を持っています。
その欲求を満たすのが、コーチングでいう「承認」というスキルです。
「承認」とは、あなたの存在を私はちゃんとわかっていることを伝える全ての行為や言葉です。
そして、相手の自己肯定感や自己効力感を高めます。
仕事は、目標を設定しそこに到達するための日々の行動ですから、目的を見失わずゴールを目指して集中して行動し続けるためには、やる気、すなわち高いエネルギーが必要です。
部下のエネルギーレベルを高めるために、この「承認」は必要不可欠なものです。
何も難しいことはなく、「声かけ」も「承認」です。
それは部下のやる気を徐々に高める大きな効果があります。
キャリアカウンセラーとして、ある職場で働いてことがあります。
勤め始めた頃は、緊張のし通しでした。
何事もないようにリラックスして振る舞おうと思うものの、心のうちでは自分がどう見られているかにアンテナを立てっぱなしでした。
「よろしくお願いします」と明るく笑顔を見せるものの
「この人と上手くやっていけるかな」
「信頼してくれるかな」
「この職場でちゃんとやっていけるかな」
「仕事ができない人って思われないかな」
と気にしてばかり。
それでも一ヶ月もしないうちに職場に馴染めたのは、周りの方が頻繁に声をかけてくれたおかげと今でも感謝しています。
「おはよう」「お疲れさま」はもちろんのこと、
「元気?」
「ランチ、一緒に行こう」
「旅行、楽しかった?」
「お土産をありがとう。ご馳走様。美味しかった」
「仕事が速いね」
などのように、頻繁に声をかけてもらいました。
そうしてわかったことは、このように声をかけてもらうと、反対に私も周りの人たちに声をかけやすくなったことです。
気負わずに質問ができたり、気軽に相談できるようになっていました。
気づいた時には、「自分が認められているかどうか」ということに、ほとんど気を遣わなくなっていました。
「チームの一員としての居場所がここにある」という安心感と自信が芽生え、「チームの目標達成のために自分ができることは何か」を考え、行動することに集中できるようになっていました。
このように「声をかける」というのは、私たちが思う以上に、部下の意欲と行動を引き出すパワフルなきっかけになります。
「声かけ」の効果について、企業でマネジャーの立場にある友人から聞いた話も紹介します。
彼女には気になる部下が一人いました。
何を聞いても「まあ」「別に」と言うばかりで、仕事のやる気がみられない。
席が隣同士ながら会話が進まず、どうしたものかと考えあぐねていたそうです。
そこで、どう会話をするかよりも、その前段階の「声かけ」くらいは毎日しようと決めたそうです。
「おはよう」「お疲れさま」「仕事は順調?」「困っていることはない?」「この書き方はわかりやすいね」「今日はどうだった?」「ありがとう、助かった」「気を付けてね」など。
一週間たち、二週間たち、変化が起きたそうです。
部下の机の彼女と隣り合っているほうには、お互いの顔が見えないくらい山積みにされていた書類がありました。
驚くことに、それが少しずつ低くなったそうです。
一ヶ月も経つ頃には、すっかり書類は片づけられ、お互いの顔がすっきり見えるようになったとか。
彼女はこう話してくれました。
「あの書類の山は、部下が私につくっていた“心の壁”だったことに気づいた。
これからも、声をかけ続けていこうと思う」
「声かけ」は何も「気の利いた言葉」でなくてよいのです。
「声かけ」は、部下とのつながりをつくり、強める力を秘めています。
どんなに忙しくても、笑顔で思いやりを込めて、相手一人ひとりの目を見て声をかけ続けてください。
かかる時間は、わずか数秒です。
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