こんにちは。storyIの猪俣恭子です。
部下の事情がわかると、「なるほど、そうだったのか」と部下への理解が深くなり、お互いの関係もよくなった・・・。
そんな経験はありませんか?
そのきっかけとなった部下との会話を振り返ると、おおかた共通して出てくる言葉があります。
それは「実は・・・」という言葉です。
「本当のところは」や「打ち明けて言うと」という意味があります。
もしも部下が話しながら「実は・・・」という言葉を使ったら、集中して耳をそばだてる時です。
あなたに言おうか言うまいかの迷いをふり払った瞬間であり、今まで隠していた事実を思いきって話そうと決意した、大切な瞬間だからです。
そして、「実は・・・」の話の先に、問題を解決するヒントが潜んでいます。
会社員だったときの話です。
当時、ミスが続いていた入社二年目の部下がいました。
すっかり自信をなくした彼を元気づけようと、私が自分の失敗談を話していたときのことです。
「実は・・・」と彼が言いかけました。
その先に何かがあると、息をこらして静かに待ちました。
「実は父の具合が悪くて・・・。
先週、入院したんです。以前から病気だったんですが・・・」
そんなことは全く知りませんでしたので、びっくりしました。
そうか、お父さまのことが心配で仕事に集中できなかったのかもしれないと想像しました。
かたや彼は彼で、ひっかかっていたことを話すことができたからなのか、すっきりした表情になっていました。
その後はおりにふれ「お父さまの調子、どう?」「心配だね」とさりげなく声をかけるように意識しました。
驚いたことに、気になっていたことを話したことがよかったのか、彼は目立ったミスをしなくなってきたのです。
以前のように手堅い仕事ができる状態が少しずつ戻りました。
しばらくして、お父さまが無事に退院されたことをそれは嬉しそうに話してくれました。
これといって何か私ができたわけではありません。
しかし、彼からしてみれば「会社の中で自分の状態を理解してくれている人が誰かいる」というだけで、安心感がもたらされたのかもしれません。
部下が「実は・・・」と言いだしたら、あなたを信頼している証拠です。
もしかしたら「実は・・・」と小出しに使いながら、あなたがどれくらい信頼できる人かどうかを試しているかもしれません。
いずれにしても、その言葉の先に何があろうと動じることなく受けとめましょう。
そのあとのことは、部下と一緒にどうすればいいか考えればいいのですから。
まずは話してくれたということがとても大切。
人には、必ず「話していない事情」があります。
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